可能性 ある 島 の

芸術鑑賞の備忘録

展覧会 岩渕華林個展『Metamorphosis』

岩渕華林絵画展『Metamorphosis』を鑑賞しての備忘録

銀座三越7階ギャラリーにて、2018年10月17日~10月23日。


漆黒の画面の中に、女性を繊細に描く。黒白により明暗の差ははっきりしているが、そのコントラストの激しさを押さえ込むかのように、女性の姿は柔らかく浮かび上がる。

和紙に墨や岩絵具といった日本画の技法をベースにしつつ、衣装の模様などを表すために版画の技法を加えている。

女性には花や蝶などが取り合わされているが、目や口など顔や身体に接するように描きこまれているのが特徴。とりわけ花との関係で、目=観ること、鼻=匂うことなども連想されそうだが、強く印象に残るのは、それらの感覚ではなく、触覚だ。儚さも感じる女性に対し、付された花を媒介に接触するような錯覚が生じる。版画の技法も、花の接触と呼応して、触覚の感覚を増幅させている。