展覧会『作品集出版記念 伊豫田晃一個展 夜の讃歌』を鑑賞しての備忘録
スパンアートギャラリーにて、2018年12月15日~25日。
伊豫田晃一の絵画展。
《ネメシスとレダ》では、水辺に横たわる白い裸身が闇に浮かび上がる。その頭部は翼となって広げられ、腹部には眼が見開き、左腕手は天上へと上げられている。傍では白鳥が水面で水面をつつき、一輪の花が咲き、卵が一つ足下に置かれている。極めて写実的な描法で現実感を高める一方、描かれる対象の組み合わせで非現実感を産み出しているシュルレアリスムを想起させる画面。この躰は何に対して開かれているのか。アトリビュートが意味するものは何か。蠱惑的魅力を放つ作品。
他にも神話をモティーフにしている作品が多い。だが、その分野に昏く、その角度から読み解けないことが残念。それでも、画面で起こる不可思議な結合の数々を、存分に楽しめる。