映画『エリザベス∞エクスペリメント』を鑑賞しての備忘録
2018年のアメリカ映画。
監督・脚本はセバスチャン・グティエレス。
ノーベル賞受賞者であり、巨万の富を築いた分子生物学者ヘンリー(キアラン・ハインズ)は、うら若き美貌のエリザベス(アビー・リー)を娶り、広大な屋敷に迎える。出迎えるのは使用人のクレア(カーラ・グギーノ)と盲目のオリヴァー(マシュー・ビアード)。ヘンリーはエリザベスに邸内を案内して廻り、絵画や服飾品をはじめとする財産は全てエリザベスのものだと告げる。但し、1つだけエリザベスに条件をつける。地下にある仕事部屋にだけは絶対に立ち入ってはならないと。翌日、ヘンリーがエリザベスを置いて仕事に出かけると、エリザベスは好奇心から入ることを禁じられていたヘンリーの仕事部屋に入ってしまう。実験設備が立ち並ぶ中、自分と瓜二つの女性が水槽の中に入れられているのを見つけ動顚するエリザベス。翌日、帰宅したヘンリーは、エリザベスが約束を破ったことを悟り、殺害してしまう。遺体は敷地内にクレアとオリヴァーとともに埋める。
そして、6週間後、ヘンリーは、エリザベスを再び花嫁として迎えることにする。
ヘンリーは理想の妻をクローニングによって生み出そうと試行錯誤する。だが、それはうまく行くことがない。ヘンリーは失敗作を処分することに倒錯した悦楽を味わっている。
ヘンリーの変態的な嗜好はともかく、約束を破ったエリザベスをヘンリーが処分する過程が雑なのが残念。残酷さを避けるためのあえての演出なのか、B級の印象を受ける。
オリヴァーが失明する経緯は、オリヴァーがヘンリーに従順であることを示すものだろうか。
クレアがオリヴァーの接近を拒むのは、オリヴァーとヘンリーとの関係からすると理解できるが、オリヴァーがクレアに接近する理由は、オリヴァーのエリザベスに対する感情からすると、今ひとつ理解できなかった。
いろいろと気になる雑な部分はあるが、アビー・リーの美しさを堪能できる作品で、大満足。
原題は"Elizabeth Harvest"。harvestには「収穫」や「成果」というプラスの意味だけでなく、「報い」というマイナスの意味も持つ。その両義性を以てタイトルに据えたのだろう。
エリザベスの瞳の大写しでスタート。
ヘンリー自ら結婚を「サビニの女たちの略奪」に擬えている。
ヘンリーのエロティックな絵画コレクションが気になる(エゴン・シーレくらいしか分からなかった)。また、最後にエリザベスが持ち出す作品が何だったのか気になる。