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芸術鑑賞の備忘録

映画『ブラック・クランズマン』

映画『ブラック・クランズマン』を鑑賞しての備忘録
2018年のアメリカ映画。
監督は、スパイク・リー(Spike Lee)。
脚本は、チャーリー・ワクテル(Charlie Wachtel)、デビッド・ラビノウィッツ(David Rabinowitz)、ケビン・ウィルモット(Kevin Willmott)、スパイク・リー
原作は、Ron Stallworthの"Black Klansman"。
原題は"BlacKkKlansman"。

1970年代半ばのコロラド州コロラドスプリングス。ロン・ストールワース(John David Washington)は、地元警察に採用された最初の黒人警官となった。資料室の勤務となったロンに対し、同僚たちはあからさまな差別発言を繰り返し、挑発する。署長のブリッジス(Robert John Burke)に異動を願い出たロンは、クワメ・ツレ(Corey Hawkins)が演説する集会に潜入捜査することを命じられる。クワメ・ツレは「ブラック・パワー」を訴える黒人差別撤廃運動の指導者で、地元で暴動を扇動するのではと嫌疑がかかっていたのである。集会に赴いたロンは、コロラド大学の黒人学生組合の会長で集会の主催者パトリス・デュマ(Laura Harrier)と出会う。クワメ・ツレの訴えにすっかり感銘を受けたロンは、パトリスに声をかける。パトリスがツレを滞在先へと送り届けた後に落ち合うと、彼女は地元の警察官に車を停められ、暴言を浴びせられたうえ体を触られ、抗議すると銃を向けられたと怒りに震えていた。その警官の名を知りたがったが、パトリスはそれどころではなかったらしい。警官を敵視するパトリスにロンは複雑な心境であった。公安部に配属となったロンは、地元紙に掲載されたクー・クラックス・クラン(KKK)の広告を目にする。彼は白人を装って電話し、コロラドスプリングス支部会長ウォルター・ブリーチウェイ(Ryan Eggold) と話して入会の意思を伝える。ロンは、同僚のユダヤ人フリップ・ジマーマン(Adam Driver)を「白人のロン・ストールワース」に仕立て上げ、二人一役でKKKの潜入捜査を行う奇策を上司に願い出る。ウォルターと約束した場所に向かうと、そこにはウォルターではなくフェリックス・ケンドリックソン(Jasper Pääkkönen)がいた。 安全のためだとフェリックスはフリップに車を置いたままにさせ、自らの車に乗せて「組織」の集まりに向かう。ロンはフェリックスの車を尾行する。

フェリックスの妻コニー(Ashlie Atkinson)は、夫と同様KKKの思想に入れあげているが、活動の頭数には入れてもらえない。長年自分も活動に参加したいという強い望みを抱え、自分が組織に貢献するチャンスを今か今かと待ち構えている。コニーは、KKKの思想に染まっている点を除けば、料理好きで夫思いの優しい妻なのだ。「善良な」市民がある日テロリストに変貌してしまう。コニーの印象が強く残った。

本編の後に、後日譚として、現在のアメリカが描かれる。アメリカ国旗がモノクロームに暗転すると、そこには白と黒とのはっきりとした境界が現われる。

予告編を見て想定していたよりもシリアスな内容であった(テーマからすれば当然であろうが)。