展覧会『鈴木親展「わたしの、東京」』を鑑賞しての備忘録
KOSAKU KANECHIKAにて、2019年4月20日~6月1日。
夜の繁華街の明るさとは距離を置いた、外灯に照らし出された植え込みの花々を捉えたと思しき写真。人知れず咲いていると言うほどには隔絶されても秘匿されているわけでもない。それでも、他の人は気付かず通り過ぎてしまうような存在に気付いているとの窃かな矜恃を楽しんでいる。そして、ツツジの花ならば、燃え立つようなエネルギーではなく、内包する蜜の持つ粘着質を抽出するように表現する。それは、モデルを被写体にした作品群でも変わらない、街の中の、過剰な情報に塗り込められて、気にとめず通り過ぎてしまう場所を背景に選んでいる。モデルを共犯者に切り取った景色を所有するのだ。東京に対して距離をとりつつ(「わたしの"、"東京」)、私物化(「わたしの」「東京」)している。