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芸術鑑賞の備忘録

映画『ガルヴェストン』

映画『ガルヴェストン』を鑑賞しての備忘録
2018年のアメリカ映画。
監督はメラニー・ロラン(Mélanie Laurent)。
脚本はジム・ハメット(Jim Hammett)。
原作はニック・ピゾラット(Nic Pizzolatto)の"Galveston"。
原題は、"Galveston"。

1988年のニューオーリンズ。スタン(Beau Bridges)の下で用心棒をしているロイ(Ben Foster)は、医師フィネッリ(Jeffrey Grover)から肺のレントゲン写真を見せられ、一瞬にして死期を悟る。医師の制止を振り切って診察室を飛び出したロイがスタンの下へ向かうと、新たな依頼を受ける。今回の件では威嚇に留めるため銃は携帯するなと釘を刺されたロイが相棒と現場に向かうと、二人は待ち伏せしていた者に襲われる。おそらくカルメン(María Valverde)をめぐって、ロイはスタンに嵌められたことに気付くが、相棒は銃殺されてしまう。辛くも窮地から逃れたところで、椅子に縛られた赤いドレスの女(Elle Fanning)に気が付く。ロイは彼女を連れてできる限り遠くへと逃げることにする。

 

孤独な男女の逃避行という定番の物語ではある。だが、ハードボイルドとして見ていると、裏切られる。粗暴なロイを、迷いを抱えた、愚かしさや情けなさを多分に備えた人物として造形し、それを徐々に滲み出させるように描くことで、独特な風合いを持った作品に仕上がっている。そして、ヒロインであるロッキー(Elle Fanning)の放つ魅力によって、ロイへの共感をより強く生み出すことに成功しているのではないか。