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芸術鑑賞の備忘録

展覧会 謝花翔陽個展『状況"環/蛇、全て最良の未来のために。"』

展覧会『謝花翔陽展「状況"環/蛇、全て最良の未来のために。"」』を鑑賞しての備忘録
Bambinart Galleryにて、2019年5月18日~6月2日。

多数の眼を持つ女性の肖像画を中心とした絵画と、絵画に関連したモティーフの立体作品から構成される謝花翔陽の個展。

「愛」と「死」を織り込んだ「アイシテル」の言葉などが書き込まれた画面には、女性の肖像・乳房・陰茎・花など生(性)を連想させるものと、骸骨や鳥といった死のイメージとが、穴(女性器あるいは墓穴?)が穿たれた板に白い絵具(精液?)を置いた上に描かれている。過去・現在・未来を見通すかのような三段の眼を持つ女性は女神だろう。全身は描かれていないが、女媧のような蛇身の女性の描かれた作品もある。眼の形象がゾウリムシのように動き出し、増殖しているものも見られる。あるいは眼もまた女性器のメタファーなのかもしれない。そして、ウロボロスによって、生と死の循環が示されている。描き込まれた個々のイメージの強度にも拘わらず、配色のためか、アレクセイ・フォン・ヤウレンスキーの温和な肖像画を思わせるような、落ち着いたまとまりが感じられるのが不思議だ。絵画作品と合わせて展示される立体作品は、女神の祭壇や奉献品のようだ。