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芸術鑑賞の備忘録

映画『ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた』

映画『ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた』を鑑賞しての備忘

2018年のアメリカ映画。
監督は、ブレット・ヘイリー(Brett Haley)。
脚本は、ブレット・ヘイリー(Brett Haley)とマルク・バシェ(Marc
Basch)。
原題は、"Hearts Beat Loud"。

ニューヨーク市ブルックリン区レッドフックにあるレコード店「レッド・フック・レコーズ」。レトロな佇まいの内装とレコード・ジャケットとが味わい深い空間を生んでいる。店主で元ミュージシャンのフランク・フィッシャー(Nick Offerman)は、音楽への愛着、センス、知識については人後に落ちるつもりはない。だが、ネット販売に押されて売り上げは減少する一方で、テナント料は上昇していく。それに加え、最近痴呆が進行している母親マリアンヌ(Blythe Danner)のことがますます気がかりになっていた。フランクは、娘のサム(Kiersey Clemons)がUCLAに進学するのを機に店をたたむ決心をする。密かに恋心を抱いている友人で店舗のオーナーでもあるレスリー(Toni Collette)が来店した際、その旨を告げた。フランクは、ミュージシャンだった妻を交通事故で亡くしていたが、サムが妻の才能を引き継いでいると信じており、娘との音楽活動をかねてから望んでいた。サムは医師志望で家でも予習に励んでいるが、フランクは今を逃せばその機会はないと思い、ある晩、無理矢理即興の曲作りに参加してもらう。サムの歌声に感心したフランクはともにバンドを組もうと持ちかけるが、サムに「バンドじゃない」と断られる。フランクはサムとのセッションで作成した曲を「バンドじゃない」名義の楽曲「ハーツ・ビート・ラウド」としてSpotifyにアップロードする。サムは、ニューヨークへやって来たアーティスト志望のローズ(Sasha Lane)と付き合い始めていたが、自らはロサンゼルスへと向かう日が迫っていた。

 

登場人物それぞれの"Don't leave me here alone!"(「ハーツ・ビート・ラウド」の歌詞)が交錯するストーリー。地に足の着いたフィクションと言おうか、現実と虚構とのバランスがとれている。音楽の魅力が花を添えている。