展覧会『Grand Menu』を鑑賞しての備忘録
FARO Kagurazakaにて、2019年5月25日~6月22日。
我喜屋位瑳務、高木真希人、寺本愛の三人展。
寺本愛の作品について。
時間=変化=動きをわずかな差異で表現する作品が印象的。
画面右側では横座りの女性の背後に円形に整然と並んでいた玉が、左側では上半身をやや起こして横たわる女性のそばに散らばる形で描かれている。異時同図法による時間表現。
4人の女性が左から右へと歩いている作品。背景に引かれた黒い2本の横に延びる線。左側よりも右側の方を幅を広くすることで、前方への動きを強めるとともに、未来への期待を膨らませている。
とりわけ印象に残るのは、真っ白な背景に、左を向いて立つ女性がやや前掲した姿勢で描かれている作品。顔だけを左に向け、右の頬のあたりにわずかに縦の線が引かれている。この短い線によって、今、右頬が壁に接したという動きが伝わる。そして、黒いワイドパンツの模様にも見えた白い玉が、この女性の血潮が沸き立つかのように、ふっと浮き上がる。