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芸術鑑賞の備忘録

映画『ゴールデン・リバー』

映画『ゴールデン・リバー』を鑑賞しての備忘録
2018年のアメリカ・フランス・ルーマニア・スペイン合作映画。
監督は、ジャック・オーディアール(Jacques Audiard)。
原作は、パトリック・デウィット(Patrick deWitt)『シスターズ・ブラザーズ』("The Sisters Brothers")。
脚本は、ジャック・オーディアール(Jacques Audiard)とトーマス・ビデガン(Thomas Bidegain)。
原題は、"The Sisters Brothers"。

1851年、オレゴン。兄イーライ(John C. Reilly)と弟チャーリー(Joaquin Phoenix)のシスターズ兄弟は、地元を取り仕切る「提督」(Rutger Hauer)に雇われる殺し屋として人々に恐れられていた。一仕事終えて報告に向かったチャーリーに、提督は次のターゲットとしてハーマン・カーミット・ウォーム(Riz Ahmed)の名を告げる。 提督は既にジョン・モリス(Jake Gyllenhaal)をウォーム追跡のために派遣し、ジャクソンヴィルでシスターズ兄弟に引き渡す計画を実行に移していた。モリスは、カリフォルニアへ向かって幌馬車で旅するウォームをマートル・クリークで発見する。容姿や行動などを仔細に観察し尾行していたが、ウルフ・クリークで当のモリスからマートル・クリークでも目にしたと声をかけられてしまう。やむを得ずモリスはウォールと行動をともにすることで、ジャクソンヴィルに足止めさせる方針に切り替える。モリスが馬を用意して二人でジャクソンヴィルに向かうと、ウォームはモリスが手錠を用意しているのを発見する。ウォームはモリスを待ち伏せて銃を突きつけるが、わずかな隙にモリスに形勢を逆転され、捕えられてしまう。ウォームは、化学者である自分が金を容易に発見するための化学式を発見したことを明らかにし、シスターズ兄弟は化学式を聞き出すために自分を拷問にかけるだろうと独白する。同情したモリスはウォームとともにジャクソンヴィルを去り、サンフランシスコに向かうことにする。その道中、ウォームは金を手に入れるのはダラスにユートピアを建設するためだと構想を語る。父から逃れることしか考えてこなかったモリスは彼の理想を実現しようとする姿勢に感化されるのだった。一方、シスターズ兄弟は、チャーリーが飲み過ぎたり、イーライが毒蜘蛛に嚼まれたり、馬が熊に襲われたりと、悪癖や災難のために追跡に手間取っていた。ジャクソンヴィルでモリスの置き手紙を読み彼の裏切りを知った時点で4日間の遅れをとっていた。兄弟はモリスとウォームの行方を探るため、隣町のメイフィールドへ向かう。

 

シスターズ兄弟がいがみ合いながらも深い絆で結ばれている。とりわけ、弟チャーリーに負担をかけてしまった過去を悔いている兄イーライの優しさが印象に残る。随所に描かれるイーライのほのぼのとした行動には、可愛らしささえ感じてしまう。「西部劇」のカテゴリーに分類される舞台設定であり、それにふさわしい銃撃シーンなどの場面も豊富に用意されているが、そこからはみ出し、ずれている部分にこそ、この作品の魅力が詰まっている。エンディングも良い意味で予想を裏切ってくる。