映画『タロウのバカ』を鑑賞しての備忘録
2019年の日本映画。
監督・脚本は大森立嗣。
エージ(菅田将暉)は兄(伊達諒)同様に柔道エリートの道を歩んでいたが、推薦で入った高校で膝を痛め挫折する。柔道部の顧問(池内万作)はエージが自分の恩を仇で返したと憤っている。エージは半グレ集団を率いる吉岡(奥野瑛太)に目をつけられて時に使い走りをさせられる一方、同級生の洋子(植田紗々)に思いを寄せるスギオ(仲野太賀)と、河原を徘徊していた素性の分からない少年「タロウ」(YOSHI)とつるんでは鬱屈した気分を晴らす何かを常に探し回っている。ある日吉岡から留守を任せられた障害者施設で下手を打ったエージは吉岡に殴られる。エージは復讐のため、吉岡が駐車場に車を停めて一人歩き始めたところに自転車で近づき、吉岡を背後からバットで殴りつける。スギオは恐くなって追撃を加えることができない。エージはスギオとタロウとともに動物のマスクを被っていたが、吉岡はすぐにエージの仕業と見抜く。エージは吉岡の黒いハンドバッグを奪ってスギオとタロウとともに逃走する。アジトでカバンの中身を確認すると、拳銃が入っていた。本物の拳銃に興奮する3人は、拳銃でできることをあれこれと言い合う。エージは突然スギオとタロウに銃を向けると、服を脱がせ、踊らせたり組み体操をさせたりして悦に入る。エージはタロウに銃を預からせ、人目につかないよう念を押していたが、タロウはウェスト・ポーチにしまった拳銃を見せて通りがかりの女性からカバンを奪ってしまう。吉岡は部下(荒巻全紀)らとともにエージと拳銃の行方を追っていた。
怒りが弱い者に向けられる社会や、敵味方をつくりあげるゲームに興じて現実を見ない社会に対する激しい憤りを、エージやスギオをブースターとした「タロウ」という飛翔体に搭載してぶち上げた監督の心意気に打たれる。