可能性 ある 島 の

芸術鑑賞の備忘録

展覧会 一乗ひかる個展『自由と存在』

展覧会 『一乗ひかる「自由と存在」』を鑑賞しての備忘録
ギャラリー・ルモンドにて、2019年11月26日~12月8日。

一乗ひかるの作品展。板に描かれた駆けたり横たわったりといった様々な姿の女性像6点、布を支持体にした正面向きの裸体女性の上半身像シリーズ8点と、「A WOMAN AT WORK」と題された江戸時代の女性をテーマにした版画シリーズ7点を展示。

からっとしたエロスに一瞬で目を奪われる。その訴求力をシンプルかつ大胆な造形に求め見つめると、色彩をつくる網点に目が止まる。網点の大小あるいは粗密に気が付くと、さらに複数の色彩の組み合わせや重なりが気になっていく。例えば、板に描かれたシリーズのうち、しなだれかかるようにクマの背に跨がる女性を描いた作品では、人物の肌の立体感を生む網点の使い分けに目がとどまり、クマの黒い影が黒ではないことに気が付くというように。緻密な計算や作業を感じさせない軽やかさを生み出す構成力が淫靡を躱し、気風の良いエロスへと作品を昇華させているようだ。
クマの作品とその隣の背を向けた女性の立像がとりわけ魅力的だった。