可能性 ある 島 の

芸術鑑賞の備忘録

展覧会『ヴィーナス達の誕生』

展覧会『ヴィーナス達の誕生』を鑑賞しての備忘録
新宿眼科画廊〔スペースM〕にて、2019年12月13日~25日。

MIRAI、藍嘉比沙耶、牛木匡憲、羽多野加与、雪下まゆの5名の作家による女性像をテーマにしたグループ展。

MIRAI《笑顔のままで泣いているときもある》について
靴と靴下、首からリボンを提げいる他は何も身につけていない美少女がしゃがんで排泄している様を描く。肌は水色と青で表され、長い髪の黄色や、背景のオレンジの補色との対比が鮮やかだ。排泄の恍惚感からか笑顔を見せる顔からは、ピンク色の玉のような涙が迸る。排泄物の流動性や飛沫的表現、背景に表された波のような影、何より全体から受けるポップやキッチュといった印象は、田名網敬一の「バタ臭さ」を「萌え」に置き換えたといったら伝わるだろうか。
排泄というテーマは平安期の絵巻物《病草紙》などに描かれるが、スカトロジーは画題としてはあまりなく、排泄だけを正面から描く作品はほとんどないだろう。排泄自体は美術の世界からは排除されているとしても、それが伴う快感や恍惚(感)であれば、宗教画でも取り上げられてきたテーマと言える。配色やタイトルからも、意図的にコントラストが強調されていることは明白であり、恍惚を排泄から描き出しているのだ。また、排泄から嗅覚や聴覚を排除し、視覚だけに特化して、「浄化された汚らしさ」を鑑賞させることで、美術作品の持つ視覚優位的、排他的性格を喚起させてもいるだろう。