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芸術鑑賞の備忘録

映画『ペット・セメタリー』

映画『ペット・セメタリー』を鑑賞しての備忘録
2019年のアメリカ映画。
監督は、ケビン・コルシュ(Kevin Kölsch)とデニス・ウィドマイヤー(Dennis Widmyer)。
原作は、スティーブン・キング(Stephen King)の小説『ペット・セマタリー(Pet Sematary)』。
原案は、マット・グリーンバーグ(Matt Greenberg)。
脚本は、ジェフ・ブーラー(Jeff Buhler)。
原題は、"Pet Sematary"。

ルイス・クリード(Jason Clarke)は、妻のレイチェル(Amy Seimetz)、娘のエリー(Jeté Laurence)と息子のゲイジ、さらに飼い猫のチャーチを乗せて、森を縫って走る道を運転している。長距離のドライブに、エリーはあとどれくらいかかるか尋ねると、ルイスにあと8時間くらいと返され驚く。実際には目的地である新居のそばまで来ていた。救急救命医であるルイスは、妻レイチェルの勧めで、仕事のストレスを軽減するために自然豊かな静かな環境で暮らそうと、マサチューセッツ州ボストンからメイン州ラドローへと転居したのだった。だが車を降りた途端、目の前を走る林道を高速で走り抜けるトレーラーの轟音に驚かされる。住居の裏に広がる森も敷地となっていた。レイチェルとエリーは森の中を行く動物の面をかぶった子供たちの行列を見かける。エリーは彼らが何をしているのか尋ねるがレイチェルにも分からない。レイチェルは一人で森の中に入らないよう言い含めるが、行列の向かった先が気になったエリーは、一人になった隙に、森の中に入り込む。エリーがたどり着いたのは「ペット・セマタリー(PET SEMATARY)」の標識が掲げられたペットの墓地(pet cemetery)だった。墓標が立ち並ぶ墓地の奥には瓦礫が積み重ねられている。その向こう側に何があるのか気になったエリーは瓦礫の山を登ろうとして、釘で足を怪我してしまう。そこへ隣家の独居老人ジャド・クランドール(John Lithgow)が現れて、エリーの足を応急手当する。エリーがいなくなったことに気付き森の中を探していたレイチェルがエリーを見つけ、家へ連れ帰る。その晩、エリーは死について両親に尋ねる。医師であるルイスはそろそろ9歳を迎える娘に死について教えるべきだと考えているが、自身の幼い頃に病気の姉ゼルダ(Alyssa Brooke Levine)の死に纏わるトラウマを抱えるレイチェルは死の話題は娘からできる限り遠ざけておきたいと考えていた。結局、死を迎えるのはずっと先のことだから今心配する必要は無いと諭してエリーを寝かしつける。ルイスは勤務先の大学病院で車に轢かれた男子学生ヴィクター・パスコー(Obssa Ahmed)の救命処置を行う。頭蓋が砕けて脳が露出する状態で運ばれてきたヴィクターは、ルイスの必死の処置も虚しく絶命する。だがルイスは事切れたヴィクターが起き上がるのを目撃する。そのイメージが頭を離れないルイスは、自宅で眠っている際に物音で目を覚まし、ヴィクターの姿を目撃する。ヴィクターは自分を救おうと懸命な処置をしてくれたルイスへの礼として、ルイスを森の中のペットの墓地へと導き、境界を越えてはならないとの忠告をする。ゲイジに揺り動かされて目を覚ましたルイスは夢の出来事だったと安心するが、ベッドを降りようとして泥で汚れた足に気が付き愕然とする。ハロウィーンの日、ルイスとジャドは林道脇にチャーチの轢死体を発見する。ジャドはエリーに親切にされて彼女を孫のように可愛がっており、チャーチがエリーの大切なペットであることも知っていた。ジャドとルイスとは、エリーには知らせず、夜に一緒に埋めに行こうと取り決める。その晩、ジャドは、ペットの墓地の奥にある瓦礫の山を越えた先へとルイスを案内するのだった。

 

突然の轟音などの効果音や、思わせぶりな子供たちの仮装行列など、やや陳腐に恐怖をあおりながら、再生への執着が災厄をもたらすという教訓的な物語と言える。だがその道学者的なプロットを超えて、登場人物たちの痛切な愛情や悔悟が伝わってくるため、見応えのある作品となっている。