映画『ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方』を鑑賞しての備忘録
2018年のアメリカ映画。
監督は、ジョン・チェスター(John Chester)。
脚本は、ジョン・チェスター(John Chester)とマーク・モンロー(Mark Monroe)。
原題は、"The Biggest Little Farm"。
動物のドキュメンタリーを撮影してきたジョン・チェスターは、伝統的な料理を研究しているモリーと出会い、結婚する。あるとき、ジョンは、劣悪な環境で多数の犬が飼育されている現場を取材したが、行政に保護された犬の多くが殺処分を免れなかった。ジョンは一頭の黒い犬に心を奪われ、引き取ることに決める。夫妻がトッドと名付け子供のように可愛がっていたが、トッドには二人が不在の間、部屋で延々と吠えるのをやめることができないという問題があった。ドッグトレーナーに預けたり、吠えると噴射されるスプレーを試したが、トッドは吠えるのを止めることができない。階下の住人からの苦情が、遂に大家からの立ち退き要請へと変わり、ジョンは途方に暮れる。そのとき、絵本に出てくるような、動物と共生する自然の中で伝統的な農法でとれた食材を食べて暮らすという、モリーの長年の夢を実現するきっかけをトッドが与えてくれたのだという考えがジョンの頭に浮かぶ。家族や友人に理想の農園実現を訴えるうち、趣旨に賛同する投資家が見つかる。二人は大規模な養鶏場跡地やラズベリーのビニルハウスなどが周囲に広がる、カリフォルニア州ベンチュラ郡の丘にあるかつての果樹園を用地に選定し、移住する。モローが伝統農法のコンサルタントであるアラン・ヨークを招き、自然の多様性を確保してそのシステムに委ねるという彼の教えを二人は実践に移していく。
スコップもまともに入らない石のような土に覆われたうち捨てられた果樹園が、自然の力に委ねる伝統農法の実践によって徐々に緑に覆われた美しい農園へと生まれ変わっていく様子を描くドキュメンタリー。強い風や日照りなどの気象条件や、鳥や獣や虫などのアンバランスなど、自然の力に委ねることの困難が次々と農園を襲うが、自然の働きを観察することで、解決の糸口が探られていく。愛らしい動物たちや美しい自然が至福の映像体験。豚のエマが特に気に入った。