可能性 ある 島 の

芸術鑑賞の備忘録

展覧会『TOKAS-Emerging 2020 第2期』

展覧会『TOKAS-Emerging 2020 第2期』を鑑賞しての備忘録
6月2日(火)より再開し、6月21日
トーキョーアーツアンドスペース本郷にて、2020年6月2日~21日。※当初日程は2020年5月16日~6月14日。

塙龍太「創意に満ちた等価性」(1階)、吉田志穂「余白の計画」(2階)、岩本麻由「Untitled Scenes」(3階)の3つの展示で構成。

岩本麻由「Untitled Scenes」について
土嚢を描いた《Untitled (Sandbags)》(2013)では底の部分から油膜のような様々な色を呈した液体が漏れ出し、建築現場の足場を描いた《Untitled》(2018-2019)では、見上げるようにして描かれた足場板の裏側にやはり油膜のような鮮やかな色が除いている。《Untitled (Fence)》(2019-2020)では金網フェンスとそのほつれが、《Useless Landscape》(2017)では巨大な円柱の列とそこに穿たれた穴、しみ出す油、そして歪んだ金網フェンスが描かれている。
《Untitled (River)》(2020)は、全面を漆黒が覆う横長の画面。右手やや上部には、画面と相似となるような極めて横に長い建物がぼうっと浮かび上がる。建物の1箇所には開かれた扉があり、その手前には1本の街灯が立つ。その街灯の光が建物と、手前を流れる川の水面を照らし、光の粒が揺蕩う。扉のつくる穴、街灯の柱、漏れ出す光、それら全てが艶やかな闇に抱かれるように1つに合わさる。
構造物・構築物の持つ規則性や峻厳さが秩序や建前、取り繕った姿を示しながら、穴や破れ、あるいはにじみ出す液体や光がエロティックな想像を駆り立てる。