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芸術鑑賞の備忘録

映画『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』

映画『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』を鑑賞しての備忘録
2019年製作のアメリカ映画。102分。
監督は、オリビア・ワイルド(Olivia Wilde)。
脚本は、エミリー・ハルパーン(Emily Halpern)、サラ・ハスキンズ(Sarah Haskins)、スザンナ・フォーゲル(Susanna Fogel)、ケイティ・シルバーマン(Katie Silberman)。
撮影は、ジェイソン・マコーミック(Jason McCormick)。
編集は、ブレント・ホワイト(Brent White)とジェイミー・グロス(Jamie Gross)。
原題は、"Booksmart"。

 

ロサンゼルスのあるハイスクールに通うモリー(Beanie Feldstein)はディベートを愛する優等生。勉強三昧の日々を送り念願のイェール大学進学を決めている。夢は史上最年少でアメリカ合衆国最高裁判所判事になること。卒業式前日の今朝もいつもと同様、自己啓発のメッセージを聞き、気分を高めている。そこへ年中つるんでいる親友のエイミー(Kaitlyn Dever)が車で迎えに来る。エイミーは社会奉仕活動に関心を持ち、卒業後はルワンダでタンポン制作に従事する予定。友情を確かめ合う二人だけの儀式を一通り終えて学校へ。卒業式を前日に控えた校内はお祭り騒ぎ。生徒会の予算の件を相談しようと校長室に向かうが、面倒くさがるブラウン校長(Jason Sudeikis)は副会長のニック(Mason Gooding)と話し合えとにべもない。ファイン先生(Jessica Williams)の教室に向かうと、授業をとっていないジャレッド(Skyler Gisondo)が自らの顔をプリントしたTシャツを先生に手渡すために現れたり、ジョージ(Noah Galvin)とアラン(Austin Crute)が夏休みに駐車場で公演するシェイクスピア劇の宣伝をしたりしている。昼休み、モリーはニックに生徒会の件について話し合おうとするが、スナックを口で受け取るのに夢中で相手にされない。モリーはエイミーにライアン(Victoria Ruesga)に話しかけるようけしかける。エイミーは2年前にレズビアンであることをカミングアウトしており、いつも笑顔を絶やさないライアンに夢中だった。決死の覚悟でライアンに話しかけるも、エイミーは話が続かずそそくさと退散する。トイレに入ったモリーは、テオ(Eduardo Franco)、タナー(Nico Hiraga)、"AAA"(Molly Gordon)がモリーとやれるやれないという話題で盛り上がっているのを耳にする。モリーは憤然として姿を現すと、たしかに私の膣内には表彰状が詰まっているかもしれないが、あなた方と違って将来が約束されているのだと勝ち誇ったように言い放つ。だがアメリカ自動車協会(AAA)のような行き届いた「サーヴィス」を男子に提供していると噂されている"AAA"の進学先は同じイェール大学だった。タナーはスランフォード大学への進学が、テオはグーグルへの就職がそれぞれ決まっていた。学業だけに専念して勝ち取ったと思ったエリート・コースの切符を、遊び回していると思っていた同級生たちも手に入れていたことに打ち拉がれるモリー。放課後、エミリーを連れて人気のない丘の上にやって来たモリーは高らかに宣言する。ニックが開くパーティーに参加し、ハイスクール4年間分の遊びを回収するのだと。エミリーは不承不承モリーの決定に従うのだった。

 

卒業式前日+当日のドタバタを描くコメディでありながら、限られた時間の中でお互いの知らない面を知り理解しあっていく、美しい展開もしっかり練り込まれた青春映画。俳優としても魅力的なオリヴィア・ワイルドが、初監督にして素晴らしい作品を作り上げた。
モリー(Beanie Feldstein)とエイミー(Kaitlyn Dever)はもとより、登場人物が皆おかしくて憎めない人物ばかり。
二人がラリったときの「人形劇」の展開も良い。二人をハイにさせた神出鬼没の魔女的存在ジジ(Billie Lourd)の怪演も見事。
ホープ役のDiana Silversがとりわけ美しい。