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芸術鑑賞の備忘録

映画『ストレイ・ドッグ』

映画『ストレイ・ドッグ』を鑑賞しての備忘録
2018年製作のアメリカ映画。121分。
監督は、カリン・クサマ(Karyn Kusama)。
脚本は、フィル・ヘイ(Phil Hay)とマット・マンフレディ(Matt Manfredi)。
撮影は、ジュリー・カークウッド(Julie Kirkwood)。
編集は、プラミー・タッカー(Plummy Tucker)。
原題は、"Destroyer"。

 

ロサンゼルス市警の刑事エリン・ベル(Nicole Kidman)が高架下に停めた自動車で目を覚ます。車を降り、ふらつきながら川沿いの道を歩いて行く。鉄塔の近くの事件現場に立ち入る。同僚のクドラ(Colby French)とギャヴラス(Natalia Cordova-Buckley)が怪訝な顔でエリンを見る。近くには血を流した遺体が横たわっていた。お前の行方を警部が探してるぞ。身元は? 不明。死因は? 射出口が3つ、ホトケの脇のゴースト(未登録銃)によるもの。遺体の傍にはダイパックによる紫色の染料が付着した紙幣がある。これは私たちのヤマよ。犯人なら分かる。なら教えろ。エリンは振り返ることもなく中指を立てて立ち去る。
ここはお前の自宅じゃないがお前宛の私信が届いてるぞ。市警本部に出勤したエリンは、黄色い封筒を受け取る。中に入っていたのは、紫色の染料が付いた100ドル紙幣。エリンは証拠物件の保管庫に行き、同様の紙幣を持ち出す。エリンが向かったのはFBI。かつての上司ギル・ローソン(Toby Huss)に会う。来ると分かっていたら皆で歓迎したのに。あなたに会いに来た。要件は? サイラス(Toby Kebbell)が戻ってきた。迷宮入りした終わったヤマだろ。この紙幣の照会をして欲しい。どこで手に入れた? とにかく私の手に入った。ローソンがデータベースで照会した結果、エリンの持ち込んだ紙幣は、サイラスの事件のものと合致した。かつてローソンの指示の下、クリス(Sebastian Stan)とエリンとはカップルを装い、サイラスの武装強盗集団で潜入捜査を行った。娘さんはいくつになる? 16。もうそんなに経つか。一人で抱え込まずに誰かに相談しろよ。
エリンはタズ(Joseph Fatu)の元へ向かう。タズは表向きは自動車修理工だが裏ではゴーストを売り捌いていた。顧客を教えてもらいたい。できるわけないだろ、信用をなくしたら商売にならない。じゃあこれは預かっておく。エリンはゴーストの入ったバッグを奪って立ち去る。
エリンは、サイラスの一味で収監中のトビー(James Jordan)の面会に向かう。刑務所に問い合わせると、トビーは1ヶ月前に温情措置で釈放されていた。そこでトビーの自宅に向かうことにする。母親(Jan Hoag)に出迎えられ、リヴィングに向かうと、ベッドに身動きのとれないトビーの姿があった。母親が外出する。買い出しならクッキーも買ってくれ、どうせ長くねえ、何を食べてもいいんだ。何しに来た? サイラスが戻って来た。俺は関係ない。何か分かることは? アルトゥーロ(Zach Villa)なら分かるかもしれねえ。どこにいる? 知りたきゃこれをどうにかしろ。トビーは下半身を示す。

 

ロサンゼルス市警の刑事エリン・ベル(Nicole Kidman)が、過去にFBIの捜査官として潜入捜査を行い逮捕できなかったサイラス(Toby Kebbell)の情報に接し、自らの手で彼を逮捕しようと単独行動に走る姿を描く。現在と17年前とを行き来する中で、エリンの状況が徐々に明らかになり、彼女が逮捕に執念を燃やす理由が詳らかになる。
よく練られたプロットで最後まで見ると腑に落ちる。
難点は、前半の回想シーンでサイラスが求める「運試し」の緊張感が高すぎて、それ以降の展開が相対的にやや緩く感じられてしまうこと。