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芸術鑑賞の備忘録

映画『ソング・トゥ・ソング』

映画『ソング・トゥ・ソング』を鑑賞しての備忘録
2017年製作のアメリカ映画。128分。
監督・脚本は、テレンス・マリック(Terrence Malick)。
撮影は、エマニュエル・ルベツキ(Emmanuel Lubezki)。
編集は、レーマン・アリ(Rehman Ali)、ハンク・コーウィン(Hank Corwin)、キース・フラース(Keith Fraase)。
原題は、"Song to Song"。

テキサス州オースティン。ギタリストを夢見るフェイ(Rooney Mara)は、自らの抱える空虚さを満たそうと、手頃な男性を見かけては関係を持っていた。受付の仕事をしているとき、偶然音楽プロデューサーとして成功しているクック(Michael Fassbender)に見初められる。フェイは、仕事につながることを期待しつつ交際し始める。クックが亡き恩師を偲んで開いたパーティーで、フェイはクックの仕事仲間である作曲家のBV(Ryan Gosling)と出会う。BVはフェイに男の影を見ながら、それでも構わないとフェイに言い寄る。フェイとクックはBVに関係を明かさないまま、3人でメキシコ旅行に向かう。

フェイ(Rooney Mara)とクック(Michael Fassbender)、BV(Ryan Gosling)との関係を中心に描かれる恋模様。フェイ、クック、BV、ロンダ(Natalie Portman)のシーンが切り替わりながら物語が進行していく。フェイについては心境を語る声が挿入されており、主人公として位置づけられている。
テレンス・マリック監督の作品では『トゥ・ザ・ワンダー(To the Wonder)』(2012)に一番近い。世界の美しさを切り出して歌い上げるような「映像詩」的な同作と比べると、音楽業界を舞台に、(世俗的であるがゆえに普遍的とも言えようが)卑近な日常の一コマを捉えていこうとする姿勢が窺える。
Rooney Maraのキュートさが全快。例えば、口紅で顔に落書きされた彼女は、魅力を増してしまう。恐るべし。