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芸術鑑賞の備忘録

映画『DUNE デューン 砂の惑星』

映画『DUNE デューン 砂の惑星』を鑑賞しての備忘録
2021年製作のアメリカ映画。155分。
監督は、ドゥニ・ヴィルヌーヴ(Denis Villeneuve)。
原作は、フランク・ハーバート(Frank Herbert)の小説『デューン 砂の惑星(Dune)』。
脚本は、ジョン・スパイツ(Jon Spaihts)、ドゥニ・ヴィルヌーヴ(Denis Villeneuve)、エリック・ロス(Eric Roth)。
撮影は、グレイグ・フレイザー(Greig Fraser)。
編集は、ジョー・ウォーカー(Joe Walker)。
原題は、"Dune"。

 

砂漠の惑星アラキス。高温と乾燥に加え、砂嵐や砂虫に襲われる過酷な環境下で、青い目を持つ先住民フレメンが数万人規模で生活しているという。アラキスの砂漠でのみ採掘される「スパイス」は星間航行の必需品であり、帝国からアラキスに封じられたハルコンネン男爵家が開発に当たってきた。ところがハーコネン男爵家は突然アラキスから撤退する。
ポール・アトレイデス(Timothée Chalamet)は、砂漠の中に立つ少女の姿を繰り返し夢に見ていた。朝食を取っていると母ジェシカ(Rebecca Ferguson)から「水を与えよ」と唱えるよう要求される。ジェシカはベネ・ゲセリット教団で修得した言葉を唱えることで相手を意のままに操る術を息子に事毎に伝授しようとしていた。今日は正装しなくては駄目よ。軍服では? 大切な儀式があるから礼服を身につけなさい。
アトレイデス公爵家が治める海洋惑星カラダンに勅使(Benjamin Clémentine)の一行が到着した。儀仗兵の警護する中、レト・アトレイデス公爵(Oscar Isaac)を始めとするアトレイデス家の面々が恭しく出迎える。レト・アトレイデス公爵は惑星アラキスを統治せよ。勅命には忠実に従うまで。勅使の広げた勅令書に公爵が指輪の印章を捺す。
格納庫でポールは、アラキス先遣隊のメンバーとなったダンカン・アイダホ(Jason Momoa)に帯同させて欲しいと頼み込む。ダンカンが戦場で斃れる夢を見たポールは、自分が同行すれば運命を変えられるかもしれないと考えたのだ。軍務違反だと断られたポールは、夢の中ではダンカンがフレメンたちと一緒だったことも告げる。ダンカンはフレメンとの交渉も任務だと答える。ダンカンの支援が叶わず意気消沈したポールは、ダンカンの代わりに武芸の稽古を付けるガーニー・ハーレック(Josh Brolin)への対応がなおざりになった。
皇帝にも近侍するガイウス・ヘレネ・モヒアム(Charlotte Rampling)が急遽カラダンに来訪した。彼女はベネ・ゲセリット教団を率い、メンバーを諸侯と婚姻させ、超能力者「クイサッツ・ハデラック」を誕生させることで未来を制御しようと画策してきた。ジェシカもその計画に組み込まれた1人であった。1ポールはジェシカに連れられて彼女と面会すると、箱に差し込んだ左手に加えられる苦痛に耐えられなければ毒針を刺されるというテストを無理矢理受けさせられる。恐怖に囚われてはならないというジェシカの教えによって、ポールはテストをクリアすることができた。
アトレイデス公爵家の惑星アラキスへの移住が行なわれる。公爵一行は先乗りしていた宮宰スーファー・ホーウェット(Stephen McKinley Henderson)の出迎えを受ける。ポールはダンカンと再会を果たして喜ぶ。ダンカンはフレメンの居住区となっている洞穴に潜入し、フレメンから砂漠での生命維持に必要な装置を入手していた。公爵は、フレメンの首領スティルガー(Javier Bardem)の訪問を受けるが、フレメンの居住区に侵入しないよう求められる。公爵は皇帝から統治を委託されている以上、必要な場合には侵入せざるを得ないと返答する。公爵は帝国の監察官であるカインズ博士(Sharon Duncan-Brewster)を同行させて「スパイス」採掘現場を査察することにする。
ラッバーン・ハーコネン(Dave Bautista)はアラキスからの撤退に憤懣やるかたない。だがヴラディミール・ハーコネン男爵(Stellan Skarsgård)は、皇帝はアトレイデス公爵家の勢力伸長を快く思われていないのだと、撤退の背後にある計略を甥のラッバーンに教える。

 

皇帝とハルコンネン男爵家の奸計によって転封地である砂漠の惑星アラキスで滅ばされたアトレイデス公爵家。その嗣子ポール・アトレイデス(Timothée Chalamet)が母ジェシカ(Rebecca Ferguson)とともに再起を図ろうとするまでを描く。「デューン」シリーズの第1作。

ベネ・ゲセリット教団など、原作であるフランク・ハーバートの小説『デューン 砂の惑星』を読んでいないと分からないと思われる設定があるが、それらは等閑に付して鑑賞できる。説明台詞を並べるより遙かに賢明な選択だろう。
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の起ち上げる美しい映像にはどこか乾いた感じがあって、「砂の惑星」のイメージに似つかわしい。トンボのような飛行機など、昆虫をイメージしたマシンも興味深い。
砂漠を海のように表し、波のイメージで音へと繋いでいく連想も興味深い。但し、日射や水不足、砂虫の出現条件を始め、砂漠の劣悪な環境が作用する場面が恣意的に感じられてしまったのは残念。
巨大企業に魂を売った巨漢タレントみたいなヴラディミール・ハーコネン男爵(Stellan Skarsgård)が素晴らしい。画面に出てきただけでぞっとさせる。浮遊する。簡単に死なない。原油みたいなのに浸かっている。最高!
ダンカン・アイダホ(Jason Momoa)を第1作で消してしまうのはもったいない。
Zendayaは本当に夢に現れて導いてくれそうだ。
原作を知らない者にとっては、これはとにかく序章なのだろうと、鑑賞後、広大な砂漠の中に放り込まれた感覚に襲われる。まさかそれこそ監督の狙い通りなのだろうか?
正直なところ、『スター・ウォーズ』のようなタイプの作品は好みではない。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督だからこそ鑑賞した。