可能性 ある 島 の

芸術鑑賞の備忘録

展覧会 AAWAA個展『丹』

展覧会『AAWAA「丹」』を鑑賞しての備忘録
タカ・イシイギャラリー 京橋にて、2025年8月30日~9月27日。

銀で継いだ丹土による土器、丹土で化粧した杉材の板、絹紙製の盆、藤製の布を並べた供献の儀式のインスタレーションと、土器を落として割る様子を捉えた2画面の映像作品《海灘[해탄]》とで構成される、AAWAAの個展。

赤茶色を呈する丹土製の土器の高坏や甕はいずれも割れたものを銀で継いだ「破砕綴」。それらが2つ、2つ、3つに分けて低い杉製の箱のような台座に載せられている。杉の板に丹土を亜麻仁油で塗装した《丹土寝台》(145mm×16105mm×60mm)、丹土と辰砂とで絹と楮の器胎に着彩した《丹土絹紙盆》(230mm781mm521mm)、藤で作った布を捲いた《丹土絹紙藤布》(90mm×830mm×521mm)も並べられる。さらに、箱に収めた丹土の表面を捉えた写真《丹》(90mm×195mm×220mm)を収めた箱も床に置かれる。台座や箱が床に円形状に、中央に間を開ける形で並ぶ。
《海灘[해탄]》は、土器が落とされて床で割れる様子を捉えた映像作品。2台のプロジェクターにより別々の映像を左右2画面で同時上映する。土器を割るのは厄を祓うためであろうか。タイトルからすれば航海の安全を願ってのことと考えられる。
翻って、《破砕綴水差し丹土器供献》など丹土製の土器はいずれも割られたものが銀で継がれている。厄を祓うために依代として棄却されたものが再生されているのである。《丹土寝台》は大陸棚、《丹土絹紙盆》は海盆、《丹土絹紙藤布》を海流ないし潮目に見立てれば、インスタレーションは海の表現となる。レッドオーシャンは生命の過酷な生存競争の場である。土器その他がほとんど床と高さが変わらない低い台座に並べられているのは、水底に沈む込む下降運動を表現しているのではないか。その下降運動が却って上昇のための力、再生の力を生じさせるのだ。