展覧会『二階堂明弘「In the Time of Clay」』を鑑賞しての備忘録
SOM GALLERYにて、2025年11月26日~12月28日。
二階堂明弘の焼物を展観。
展示室の中央には、1辺2mくらい(?)の正方形に土が10cmほど(?)の厚みで設置されている。その上に籾殻が円錐状に盛られ、その頂部にやはり籾米を入れた《手捻り大つぼ(錆器)》(500mm×530mm×500mm)が鎮座する。灰色味のある藍色灰青の器は首が無く口縁から胴に向かって張り、底に向かって窄まる。表面には縄目を連想させる斜めの線がわずかに陰影を作りつつ暗い色味に融ける。無骨でありながら凜とした佇まいの器である。青味は籾米や籾殻の枯色に映える。籾殻を死者、籾米を生者、器を水と見立て、水により生者が支えられているとみることができる。また、生命が変化であり時間であるなら、器は時間を可視化する装置と言え、砂時計ならぬ籾時計となろう。正方形の土を2畳に見立て、主人たる作家から器に「点てた」籾が呈される、茶会的インスタレーションとも解される。
《玉穀おおつぼ》(380mm×380mm×380mm)は首の無い胴が張った器。黒地に掛けた白い釉を部分的に落とすことで疾走感のある表情を見せる一方、白い釉薬の微細な罅割れが味わい深い。同名の《玉穀おおつぼ》(320mm×350mm×320mm)は首の周囲に溝が切られた壺で、焦茶とさび色の上からザラメのような白い化粧が魅力。同名の《玉穀おおつぼ》(420mm×300mm×420mm)は首の周囲に溝がある胴が張ったやや上下にひしゃげた壺で、焦茶ないし黒色の器全面に掛けられた枯色の釉薬が地色を引き立てる。《手捻り花器(やきしめ)》(360mm×250mm×360mm)は側面から見ると漏斗状をした器。粗塗りの赤土の壁のような器体の凹凸を反映して口縁が波打つ。その波からの連想であろうか、水が張られて、枯れ葉が浮く。漏斗と上戸の繋がりにも由来するのであろうか。《手捻り大つぼ(錆器)》(380mm×400mm×380mm)も口縁からストンと急角度でほとんど拡がりの無い胴から底に向かって一気に窄まる漏斗状の器である。ゴツゴツした荒々しい胎を枯色の化粧が包み込む。《手捻り花器(やきしめ)》(520mm×450mm×520mm)も口縁から胴までの拡がりがわずかで、胴から底が窄まる。乳白色の釉薬が器面の凹凸の荒々しさを抑え込み、落ち着いた表情を見せる。《手捻り大つぼ(錆器)》(370mm×280mm×380mm)も乳白色の化粧を施した器。口縁からわずかに拡がった胴からゆるやかに底に向かう。