可能性 ある 島 の

芸術鑑賞の備忘録

映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』

映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』を鑑賞しての備忘録

 

ある私立高校を舞台にした、カンニング・プロジェクトを描くタイ映画(2017年)。

原題はタイ語で全く分からず。

 

裕福な生徒が通う私立高校に奨学生として転校したリンは、成績が基準に達しないと舞台に立てないとクラスメイトのグレースに泣きつかれ家庭教師役を担うことに。ところが、試験本番、対策した問題が出題されているにもかかわらず手も足も出せないグレースに気がついたリンは、マークシート式テストの答えをグレースに伝えることに。グレースから好成績の原因を聞いた恋人のパットは、「授業料」を支払い「先生」役を務めるようリンに依頼する。

 

校内でリンとトップを争う苦学生バンク、教師であり実直なリンの父親、辣腕をふるう女性校長、ターミネーターのごとき試験官も含め、主要登場人物がいずれも魅力的。中でも生真面目さとそれゆえの生きづらさに葛藤し、頭脳明晰で冷静沈着でありながらも暴走してしまう思春期のリンの姿に釘付けとなった。

 

ルールというものを考えさせられた。ルールを守る動機付けとして、ルールそのものの合理性とともに、ルールが等しく適用されれているという平等性が重要だ。合理性や平等性が欠けているほど、ルールを守ろうという意欲が失われ、ルールは破られる憂き目に遭う。