可能性 ある 島 の

芸術鑑賞の備忘録

展覧会『Wander From Within』

展覧会 クリエイションの未来展 第17回 清水敏男監修 第一期: Adrian Cheng × 内田繁「Wander From Within」を鑑賞しての備忘録

 

LIXILギャラリーで開催。2018年9月29日~10月28日。

 

インテリアデザイナー内田繁(2016年逝去)が手掛けた「Wander From Within」というプロジェクトを紹介する企画。

 

京橋のLIXIL:GINZAに入ると、奥に「行庵」と名付けられた内田繁のデザインによる折りたたみの茶室が設えられている。シースルーの涼しげな茶室の中には、掛物も含め茶道具が並べられている。

メインの展示は、2階の展示室で行われている。Adrian Cheng と内田繁とのコラボレーションによる椅子3脚と、テーブル、照明器具が並べられている。

「行庵」のように、シースルーのパーテーションのようなものがセットになっている。空間を切り分けつつも、外部(環境)との関係をゆるやかにつなごうとしている。この夏にTOTOギャラリー・間で開催されていた建築家・藤村龍至の展覧会「ちのかたち」でも、仕切ることとつなぐことを同時に実現しようとするプロジェクトが紹介されていた。閉じながら開かれているという生命の基本原理とパラレルな思考が潮流なのかもしれない(あまりに安直なまとめか)。

 

椅子には実際に座ってみることはできないので、洗練されたデザインではあるものの、座り(使い)心地は分からない。椅子はオブジェではなかろう。見えるものに囚われすぎている、デザインは関係であるといった旨の内田繁のメッセージ(正確な記述は忘れてしまった)が紹介されていて、それを反芻しながら作品を眺めた。

 

近隣のポーラミュージアムアネックスでは、SHIMURAbrosの「Seeing Is Believing 見ることは信じること」と題された展覧会が行われている。タイトルにもかかわらず、見ることを疑わせる企画で、LIXILの内田展と共鳴している。とは思ったが、会場内で流れ落ちる水や動物の映像などを眺めながら、何もピンとこないまま会場を後にした。無念。