可能性 ある 島 の

芸術鑑賞の備忘録

2024-01-01から1年間の記事一覧

展覧会『見ることの重奏』

展覧会『TOPコレクション 見ることの重奏』を鑑賞しての備忘録東京都写真美術館にて、2024年7月18日~10月6日。 主に東京都写真美術館が所蔵する、アンナ・アトキンス(Anna Atkins/1799-1871)、ウジェーヌ・アジェ(Eugène Atget/1857-1927)、マン・レイ(Man …

映画『本日公休』

映画『本日公休』を鑑賞しての備忘録2023年製作の台湾映画。106分。監督・脚本は、フー・ティエンユー(傅天余)。撮影は、チャン・シータン(張誌騰)。美術は、ワン・チーチェン(王誌成)。衣装は、スー・リーウェン(許力文)。編集は、リン・ヨンイー(林雍益)。…

展覧会 田中鈴花個展『オーバーラップ、オーバーライド』

展覧会『田中鈴花個展「オーバーラップ、オーバーライド」』を鑑賞しての備忘録GALLERY b.TOKYOにて、2024年9月30日~10月5日。 デフォルメされた身体をモティーフとした焼き物で構成される、田中鈴花の個展。 陶彫作品《REFLECTION》(260mm×200mm×400mm)は…

映画『花嫁はどこへ?』

映画『花嫁はどこへ?』を鑑賞しての備忘録2024年製作のインド映画。124分。監督は、キラン・ラオ(किरण राव)。原案は、ビプラブ・ゴースワーミー(बिप्लब गोस्वामी[)。脚本は、スネハ・デサイ(स्नेहा देसाई)。撮影は、ビーカス・ノゥラカー(विकाश नौलखा)。美…

展覧会『たまびやき 第16回 多摩美術大学工芸学科 陶選抜作品展』

展覧会『たまびやき 第16回 多摩美術大学工芸学科 陶選抜作品展』を鑑賞しての備忘録ギャラリーなつかにて、2024年9月30日~10月5日。 多摩美術大学工芸学科陶プログラムに学ぶ3年生・4年生の陶芸作品を展観する企画。浅賀ひなた《水憶路》(620mm×870mm×200m…

映画『傲慢と善良』

映画『傲慢と善良』を鑑賞しての備忘録2024年製作の日本映画。119分。監督は、萩原健太郎。原作は、辻村深月の小説『傲慢と善良』。脚本は、清水友佳子。撮影は、日下誠。照明は、織田誠。録音は、渡辺寛志。美術は、Ren。装飾は、酒井拓磨。スタイリストは…

展覧会 尾関立子個展『とある場所』

展覧会『尾関立子「とある場所」』を鑑賞しての備忘録ギャラリー椿 GT2にて、2024年9月21日~10月5日。 家と空地をモティーフとした銅版画で構成される、尾関立子の個展。 《House -Morning-》(2210mm×2200mm)は、紙を継いた1辺2メートル超の正方形の画面に…

展覧会 馬場まり子個展

展覧会『馬場まり子展』を鑑賞しての備忘録コバヤシ画廊にて、2024年9月23日~10月5日。 それぞれオレンジ、黄緑、水色、山吹色、紫、ピンクの単色で塗り斑のある画面を作り、幽明境を異にするかの如き人物を同系色ないし白色の線で表した絵画6点で構成され…

映画『憐れみの3章』

映画『憐れみの3章』を鑑賞しての備忘録2024年製作のアメリカ・イギリス合作映画。165分。監督は、ヨルゴス・ランティモス(Yorgos Lanthimos)。脚本は、ヨルゴス・ランティモス(Yorgos Lanthimos)とエフティミス・フィリップ(Efthimis Filippou)。撮影は、ロ…

展覧会 牧ゆかり個展『Strange Reality』

展覧会 牧ゆかり個展『Strange Reality』を鑑賞しての備忘録ギャラリー58にて、2024年9月23日~28日。 涙・滴・粒、あるいは流れる・伝わる・落ちるといった、眼から縁語のように連なるモティーフによって、束の間姿を表す歪な顔を描き出す、牧ゆかりの個展…

展覧会『昭和モダーン モザイクのいろどり 板谷梅樹の世界』

展覧会『昭和モダーン モザイクのいろどり 板谷梅樹の世界』を鑑賞しての備忘録泉屋博古館東京にて、2024年8月31日~9月29日。 板谷波山の子で、日本劇場一階玄関ホールを飾ったモザイク壁画で知られる板谷梅樹(1907-1963)のモザイク作品を展観する企画。花…

展覧会 クリス・ヨハンソン個展『Navigation』

展覧会『クリス・ヨハンソン「Navigation」』を鑑賞しての備忘録NANZUKA UNDERGROUNDにて、2024年9月13日~10月13日。 陸の上であろうと海の上であろうと、意志ある限り道が続き、なおかつその道は時空をも超える。絵画を中心としたインスタレーションで構成…

映画『アビゲイル』

映画『アビゲイル』を鑑賞しての備忘録2024年製作のアメリカ映画。109分。監督は、マット・ベティネッリ=オルピン(Matt Bettinelli-Olpin)とタイラー・ジレット(Tyler Gillett)。脚本は、スティーブン・シールズ(Stephen Shields)とガイ・ビューシック(Guy …

映画『チャイコフスキーの妻』

映画『チャイコフスキーの妻』を鑑賞しての備忘録2022年製作ロシア・フランス・スイス合作映画。143分。監督・脚本は、キリル・セレブレンニコフ(Кирилл Серебренников)。撮影は、ウラジスラフ・オペリアンツ(Владислав Опельянц)美術は、ウラジスラフ・オガ…

展覧会『空の発見』

展覧会『空の発見』を鑑賞しての備忘録渋谷区立松濤美術館にて、2024年9月14日~11月10日。 かつて空はモティーフを表すための余白に過ぎなかった。西洋絵画の将来により、眼に映る全てを捉える意識が芽生え、ベロ藍の普及と相俟って現実の空が描かれるよう…

展覧会『微粒子の呼吸 第2期』

展覧会『トーキョーアーツアンドスペースレジデンス2024 成果発表展 微粒子の呼吸 第2期』を鑑賞しての備忘録トーキョーアーツアンドスペース本郷にて、2024年8月17日~9月22日。 トーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)が2006年より実施しているレジデンス…

展覧会 池田萌々恵個展『1/n』

展覧会『池田萌々恵個展「1/n』を鑑賞しての備忘録GALLERY b.TOKYOにて、2024年9月16日~21日。 一筆書きの略画のようなキャラクターを書割の中に表したような演劇的なイメージの絵画などで構成される、池田萌々恵の絵画展。 《scene Ⅰ》(910mm×727mm)は、ピ…

映画『助産師たちの夜が明ける』

映画『助産師たちの夜が明ける』を鑑賞しての備忘録2023年製作のフランス映画。100分。監督は、レア・フェネール(Léa Fehner)。脚本は、カトリーヌ・パイエ(Catherine Paillé)とレア・フェネール(Léa Fehner)。撮影は、ジャック・ジロ(Jacques Girault)。美…

展覧会 村上早個展(2024)

展覧会『村上早展』を鑑賞しての備忘録コバヤシ画廊にて、2024年9月9日~21日。 動物と人とをモティーフとしながら、事故や事件の現場のような場面のために、あるいは表情が窺えないために不穏な雰囲気を醸し出す版画作品で構成される、村上早の個展。 《は…

映画『ぼくのお日さま』

映画『ぼくのお日さま』を鑑賞しての備忘録2024年製作の日本映画。90分。監督・脚本・撮影は、奥山大史。照明は、西ヶ谷弘樹。録音は、柳田耕佑。美術は、安宅紀史。装飾は、松井今日子。衣装は、纐纈春樹。ヘアメイクは、寺沢ルミと杉山裕美子。編集は、奥…

展覧会 小泉圭理個展『しゃくとり虫』

展覧会『小泉圭理「しゃくとり虫」』を鑑賞しての備忘録KOMAGOME1-14casにて、2024年9月11日~23日。 いずれも「しゃくとり虫」と題した絵画で構成される、小泉圭理の個展。《しゃくとり虫(Reference: Le Corbusier, Modulor)》(1800mm×900mm)は、頭に腕を載…

展覧会 若松裕子個展

展覧会『若松裕子展』を鑑賞しての備忘録OギャラリーUP・Sにて、2024年9月9日~15日。 山ないし山のような形をモティーフとした絵画で構成される、若松裕子の個展。 「山」という言葉が題名に入るのは、所々に花が咲いた5つの峰を描いた《山々の宴》(530mm14…

映画『愛に乱暴』

映画『愛に乱暴』を鑑賞しての備忘録2024年製作の日本映画。105分。監督は、森ガキ侑大。原作は、吉田修一の小説『愛に乱暴』。脚本は、森ガキ侑大、山﨑佐保子、鈴木史子。撮影は、重森豊太郎。照明は、中須岳士。録音は、猪股正幸。美術は、松永桂子。装飾…

展覧会『KAMIYAMA ART カドリエンナーレ2024』

展覧会『KAMIYAMA ART カドリエンナーレ2024』を鑑賞しての備忘録上野の森美術館にて、2024年9月8日~15日。 2014年から美術系大学院生たち240名の支援を行ってきた一般財団法人神山財団が10周年を記念して開催する展覧会。カドリエンナーレ(quadriennale)と…

映画『ヒットマン』

映画『ヒットマン』を鑑賞しての備忘録2023年製作のアメリカ映画。115分。監督は、リチャード・リンクレイター(Richard Linklater)。原作は、スキップ・ホランズワース(Skip Hollandsworth)の"Texas Monthly"誌掲載記事"Hit Man"。脚本は、リチャード・リン…

展覧会 崔明永個展

展覧会『崔明永』を鑑賞しての備忘録東京画廊+BTAPにて、2024年8月24日~9月28日。 画面を単色の線や面で塗り込める「Conditional Planes(平面条件)」シリーズ12点(キャンヴァスに油絵具かアクリル。1点だけ紙にシルクスクリーン)で構成される、崔明永(…

展覧会 小瀧雅道個展

展覧会『小瀧雅道展』を鑑賞しての備忘録ギャラリーなつかにて、2024年8月30日~9月14日。 下層に書のような文様を大きく表わした上に朱の絵具を塗り重ね、そこにより小さな書のような文様を散らした絵画「不立文字」シリーズを中心とした、小瀧雅道の個展。…

展覧会 田村憲一個展

展覧会『田村憲一展』を鑑賞しての備忘録十一月画廊にて、2024年9月2日~14日。 生命の差異と繋がりとをテーマにした絵画で構成される、田村憲一の個展。 《換》(727mm×606mm)には水色の円ないし球の集合体の下にピンクの糸が触手のように伸びる譬えるならク…

展覧会 磯谷博史個展『形が影に従い、音が響に応じる』

展覧会 磯谷博史個展『Ginza Curator’s Room #009 形が影に従い、音が響に応じる』を鑑賞しての備忘録思文閣銀座にて、2024年9月2日~14日。 德山拓一のキュレーションにより、磯谷博史が思文閣所蔵の小早川秋声・竹内栖鳳・田中一村の絵画や鈴木治の陶器を…

本 花村萬月『花折』

花村萬月『花折』〔集英社文庫は-18-11〕集英社(2021)を読了しての備忘録 私は逆子だった。 幼いころ母と風呂に入っていると、濛々と湯気が立ち籠める洗い場で、ぐいと引きよせられて必ず囁かれた。「あんたは逆子やったから。ほら、見てみ。ここ。この傷。…