可能性 ある 島 の

芸術鑑賞の備忘録

2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

映画『テルマ』

映画『テルマ』を鑑賞しての備忘録 ヨアキム・トリアー監督・脚本。ノルウェー・フランス・デンマーク・スウェーデン合作。2017年。 テルマは、生物学専攻の大学生。入学を機に親元を離れて一人暮らしを始めた。厳格なキリスト教徒の父トロンに育てられたテ…

展覧会『現代日本のパッケージ2018』

展覧会『現代日本のパッケージ2018』を鑑賞しての備忘録。 P&Pギャラリーにて、2018年10月10日~12月9日。 第57回ジャパンパッケージングコンペティションと2018年日本パッケージコンテストのそれぞれの受賞作品を展示する企画。それらに加えて、白いパッ…

映画『アンダー・ザ・シルバーレイク』

映画『アンダー・ザ・シルバーレイク』を鑑賞しての備忘録 デヴィッド・ロバート・ミッチェル監督・脚本のアメリカ映画(2018年)。 サムは、職がなく、必死に職探しをするわけでもない。母親からの電話には多忙だと答えながら、昼間からベランダで、向かい…

本 オースティン『自負と偏見』(2)湖水地方

キャサリンは叔父・叔母に当たるガーディナー夫妻と湖水地方に旅行に出かけることになる。ところが、その計画は、ミスター・ガーディナーの急用で変更になってしまう。 北部地方の旅の予定日は着々と近づきつつあった。が、あとわずか2週間という時になって…

本 ジェイン・オースティン『自負と偏見』

ジェイン・オースティン(Jane Austen)(小山太一訳)『自負と偏見』(Pride and Prejudice)(新潮文庫)を読了しての備忘録。 『高慢と偏見』という邦題でも知られるジェイン・オースティンの『自負と偏見』を、2014年刊行の小山太一訳で初めて読む。 作品の…

展覧会『夢のかけら』

展覧会『TOPコレクション たのしむ、まなぶ 夢のかけら』を鑑賞しての備忘録 東京都写真美術館にて、2018年8月11日~11月4日。 写美の所蔵作品展。リニューアル(2016年)を機に制定されたTOPという愛称もロゴも未だしっくりこない。 「たのしむ、まなぶ」が…

展覧会『それを超えて美に参与する 福原信三の美学』

展覧会『資生堂ギャラリー100周年記念展 それを超えて美に参与する 福原信三の美学 Shinzo Fukuhara / ASSEMBLE, THE EUGENE Studio (1st)』を鑑賞しての備忘録 資生堂ギャラリーにて、2018年10月19日~12月26日。 写真家であり資生堂の初代社長でもある福原…

展覧会『ジョルジュ・ルオー 聖なる芸術とモデルニテ』

開館15周年特別展『ジョルジュ・ルオー 聖なる芸術とモデルニテ』を鑑賞しての備忘録 パナソニック 汐留ミュージアム2018年9月29日~12月9日 ジョルジュ・ルオーのキリスト教を主題とした作品を紹介する企画。 メイン・ヴィジュアルに採用されているポンピド…

展覧会 岩渕華林個展『Metamorphosis』

岩渕華林絵画展『Metamorphosis』を鑑賞しての備忘録 銀座三越7階ギャラリーにて、2018年10月17日~10月23日。 漆黒の画面の中に、女性を繊細に描く。黒白により明暗の差ははっきりしているが、そのコントラストの激しさを押さえ込むかのように、女性の姿は…

映画『判決、ふたつの希望』

映画『判決、ふたつの希望』を鑑賞しての備忘録 レバノンの首都ベイルートで自動車修理工場を経営するトニーは、「レバノン軍」という政党の支持者。出産を控えた妻シリーンからは部屋に掲げた指導者の写真を外すよう頼まれるが取り合わない。トニーの家のバ…

映画『マイ・プレシャス・リスト』

映画『マイ・プレシャス・リスト』を鑑賞しての備忘録。 キャリーは、極めて高い知能の持ち主。14歳でロンドンから単身アメリカに渡り、飛び級して18歳でハーバード大学を卒業した。しかし、渡米のきっかけには母の死があった。早くに実家を離れたことで父と…

展覧会 田根剛『未来の記憶 Digging & Building』

展覧会 田根剛『未来の記憶 Archaeology of the Future Digging & Building』を鑑賞しての備忘録 東京オペラシティアートギャラリーにて、2018年10月19日~12月24日。 建築家・田根剛の活動を紹介する展覧会。 建築廃材の置かれた導入部を抜けると、会場の高…

展覧会『キリシタンの遺品』

世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」登録記念『キリシタンの遺品』を鑑賞しての備忘録 東京国立博物館(本館特別2室)にて、2018年10月10日~12月2日。 今年(2018)年7月に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界遺産に登録…

展覧会 名和晃平個展『Biomatrix』

展覧会 名和晃平個展『Biomatrix』を鑑賞しての備忘録 SCAI THE BATHHOUSEにて、2018年10月10~12月8日。 会場の奥に、床面を嵩上げした空間があり、その中央にオレンジ色の水をはった生け簀のような作品が設置されている。この作品は《LIQUID》と名付けられ…

展覧会 クロダミサト写真展「裸婦明媚」

クロダミサト写真展「裸婦明媚」を鑑賞しての備忘録 神保町画廊にて、2018年10月5日~21日。 壁面に、文庫本程度の大きさだろうか、正方形の写真が整然と並べられている。いずれも画廊で撮影された女性のヌードで、複数のモデルが繰り返し登場する。ただし、…

映画『負け犬の美学』

映画『負け犬の美学』を鑑賞しての備忘録 スティーブは40歳を超えてなお、レストランで働きながらボクサーを続けている。負傷者が出ると組まれる試合などにときおり出場するが、最後の勝利から既に数年が過ぎ去っている。試合後に一服するために外に出たら、…

展覧会『日/中/韓パフォーマンスとメディア 70's - 90's』

展覧会『TOKAS Project Vol. 1 日/中/韓パフォーマンスとメディア 70's - 90's』を鑑賞しての備忘録 トーキョーアーツアンドスペース本郷にて。2018年10月13日~11月11日。 ビデオアートの先駆者であるジャン・ペイリー、出光真子、パク・ヒョンギの3名の作…

映画『エンジェル、見えない恋人』

映画『エンジェル、見えない恋人』を鑑賞しての備忘録。 姿の見えない男の子と目の見えない女の子の物語.。 ルイーズは、交際相手の奇術師が姿を消したことで心を病み、精神病院で暮らすことを余儀なくされる。密かに出産した男の子はルイーズにしか姿が見え…

展覧会 阪本トクロウ「偽の真空」

阪本トクロウ個展「偽の真空」を鑑賞しての備忘録。 アートフロントギャラリーにて、2018年9月14日~10月14日。 「偽の真空(False Vacuum)」とは物理学用語とのこと。初めて耳にした言葉。私には物理学用語の意味はよく分からない。 アートフロントギャラ…

展覧会 村田朋泰「Omen」

村田朋泰個展「Omen」を鑑賞しての備忘録。GALLERY MoMo Ryogokuにて2018年9月8日~10月13日。 パペットアニメーション《松が枝を結び》とインスタレーション《White Forest of Omens》、パペットの顔を覆う面を並べた3つのセクションで構成。 パペットアニ…

展覧会『今も揺れている』

展覧会 あざみ野コンテンポラリーvol.9『今もゆれている』を鑑賞しての備忘録横浜市民ギャラリーあざみ野にて、2018年9月28日~10月21日。 西村有の絵画について。 自動車や電車から風景を眺めるとき、窓ガラスの外側に広がる景色に意識が向いているときには…

映画『運命は踊る』

映画『運命は踊る』を鑑賞しての備忘録 ある朝、突然軍の関係者3名がミハエルの自宅を訪れ、息子ヨナタンの戦死を告げる。ショックを受けた妻ダフナには即座に鎮静剤を注射し、ミハエルには事務的な連絡事項が淡々と伝え、彼らは退去する。続いて、軍の葬儀…

展覧会『Wander From Within』

展覧会 クリエイションの未来展 第17回 清水敏男監修 第一期: Adrian Cheng × 内田繁「Wander From Within」を鑑賞しての備忘録 LIXILギャラリーで開催。2018年9月29日~10月28日。 インテリアデザイナー・内田繁(2016年逝去)が手掛けた「Wander From With…

映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』

映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』を鑑賞しての備忘録 ある私立高校を舞台にした、カンニング・プロジェクトを描くタイ映画(2017年)。 原題はタイ語で全く分からず。 裕福な生徒が通う私立高校に奨学生として転校したリンは、成績が基準に達しな…

展覧会『Daiba Nude』

展覧会『Daiba Nude』を鑑賞しての備忘録。 Place Mで開催。ネイサン・ラムラ―の写真展。2018年10月1日~7日。 メイン・ヴィジュアルに採用されている作品が、やはり一番印象的だった。 レインボーブリッジや対岸の街並みは、雨でモノクロームに霞んでいる。…

展覧会『マルセル・デュシャンと日本美術』

展覧会『マルセル・デュシャンと日本美術』を鑑賞しての備忘録 東京国立博物館(平成館)。2018年10月2日~12月9日。 東博で開催する意義を「と日本美術」で打ち出したかったのだろうか。デュシャンと日本の美術とをアナロジーでつなごうとしたとして、利休…

映画『寝ても覚めても』

映画『寝ても覚めても』を鑑賞しての備忘録 以前から気にはなっていたものの未読の柴崎友香の小説。その柴崎作品が原作ということ以外の予備知識は無しに鑑賞。 冒頭で、牛腸茂雄の写真展。双子の子供の写真を見せる。 かつての恋人(麦)と瓜二つの外見の男…