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芸術鑑賞の備忘録

映画『シュガー・ラッシュ:オンライン』

映画『シュガー・ラッシュ:オンライン』を鑑賞しての備忘録
2018年のアメリカ映画。
監督はリッチ・ムーアとフィル・ジョンストン。
脚本は監督も務めるフィル・ジョンストン。

リトワク爺さんのゲームセンターには、アーケードゲームの電源コンセントの向こう側に、ゲームのキャラクターたちが住む世界が広がっている。レーシング・ゲーム「シュガー・ラッシュ」に登場するトップ・レーサーであるヴァネロペは、「フィックス・イット・フェリックス・ジュニア」の敵役であるラルフと毎晩呑みに繰り出す仲。安穏な日々の繰り返しでもヴァネロペとの友情に満ち足りているラルフ。それに対して、ヴァネロペは新しい刺激を渇望していた。
ヴァネロペを見かねたラルフがある日「シュガー・ラッシュ」のサーキットに新しいコースを設置する。喜ぶヴァネロペは、ゲームを楽しむ女の子の操作に従わずに暴走する。女の子が何とか操縦しようとハンドルを強く切った結果、ハンドルが外れてしまう。リトワク爺さんが直そうとするが、ハンドルが壊れてしまった。ネット・オークションebayで売りに出されているハンドルは高値で入手しては採算が取れない。やむを得ずリトワク爺さんは「シュガー・ラッシュ」を売りに出すことにする。
本拠地である「シュガー・ラッシュ」を失ってしまうヴァネロを救うため、ラルフはebayでハンドルを手に入れることを企画する。最近店に導入されたWifiを使って2人はインターネットの世界に飛び込むことにする。
何とかebayのオークション会場に辿り着いた2人だったが、落札するためについ高額を提示してしまう。落札はしたものの決済手段を持たない2人は、24時間以内に支払わなければハンドルを入手することができなくなる。ポップアップ広告を見て、ゲームでアイテムを手に入れれば資金を獲得できることを知った2人は、「スローター・レース」という危険なレーシングゲームの世界に足を踏み入れることになる。

ヴァネロペがとても愛らしいキャラクターで、ラルフがヴァネロペのために尽すのはもっともだと納得させられる。

インターネット上に広がる様々なコンテンツをキャラクターや建物・乗り物などのイメージに変換して、鮮やかなアニメーションの世界を立ち上げている。
検索エンジンは、案内所にいる卵のようなキャラクターのコンシェルジュ・ノウズモアとして描かれる。ちょっと言葉を口にすると、次から次へと関連する言葉を予測して投げ返してくる。ノウズモアは顧客から感謝の言葉がもらえないことをいつも嘆いている。そんなノウズモアに対して、ヴァネロペやラルフはきちんと感謝の言葉を述べている。
ポップアップ広告や警告などにもキャラクターが与えられていて、終盤ではインターネット上にばらまかれるウィルスにもキャラクターが与えられている。
これらのキャラクターには、妖怪に通じる想像力が認められて面白い。

ウィルスは、アプリケーションなどのプログラムの脆弱な部分を捉え、その脆弱性を拡散することで世界を破壊していく。不安を増大させることで成り立つビジネスの揶揄にもなっている。
なお、放たれたウィルス自体が駆除されたとの回収シーンがない。回収シーンがないことで広がる想像があるので一向に構わない。

ペンダントの件などで続編らしいことが分かるが、前作を見ていなくとも楽しめる(ちなみに原題は"Ralph Breaks the Internet")。むしろ、ディズニー映画などのお姫様やゲームについて詳しいとより楽しめるだろう。端役だがパックマンのおばけ(?)の動きが可愛らしい(『ズートピア』のレミングに通じる?)。

スピーディーな展開な上に各シーンで描かれる情報量が多く、子供たちはこれを理解するのか、と圧倒される。

場内が明るくなるまで席を立たないでいると見られるものがある。