可能性 ある 島 の

芸術鑑賞の備忘録

展覧会 名和晃平個展『Throne -Louvre Pyramid-』

展覧会『名和晃平「Throne -Louvre Pyramid-」」を鑑賞しての備忘録
銀座蔦屋書店(GINZA ATRIUM)にて、2019年2月5日~11日。


「Japonisms 2018」の関連企画として、パリのルーヴル美術館のピラミッドに展示されている(2018年7月13日~2019年2月18日)、名和晃平の立体作品《Throne》を、映像と写真、そして《Throne(g / p_pyramid)などのミニチュア3点で紹介する企画。

大小の球体が増殖するように連続したり、鋭利な刃が突き出したりと複雑な造形は、輝く金色と相俟って、仏像の光背を連想させるが、祭りの山車から発想しているという。タイトルの"throne"は「王位」を表す語で、中央には小さい子供なら座れるほどの小さな玉座が設けられている。今は空位となっているが、急速に発達するコンピューター・サイエンスや人工知能が、権力の座に君臨するとの予言を表すものらしい。

山車の装飾を引用したのは、「Japonisms 2018」というイヴェントを祝してのことだろう。また、複雑な形は、姿形無き情報やその不穏な潜勢力に形を与えるためだろう。では、宮殿(ルーヴル美術館)ではなく王墳墓(ピラミッド)に玉座を設けることには、どのような意味があるのだろうか。例のマウゾレウム(墳墓)とムーゼウム(博物館)との類比であろうか。ルーヴル美術館におけるガラスの「ピラミッド」の意味も不明なこともあってよく分からなかった。実際にはかなり大きな作品のようなので、ミニチュアや映像では伝わらない、途方も無い大きさがもたらす力が現地では感じられるのかもしれない。