映画『ガーンジー島の読書会の秘密』を鑑賞しての備忘録
2018年のフランス・イギリス合作映画。
監督は、マイク・ニューウェル(Mike Newell)。
原作は、メアリー・アン・シェイファー(Mary Ann Shaffer)、アニー・バロウズ(Annie Barrows)の小説『ガーンジー島の読書会(The Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society)』。
脚本は、ドン・ルース(Don Roos)、ケビン・フッド(Kevin Hood)、トーマス・ベズーチャ(Tom Bezucha)。
原題は、"The Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society"。
1946年1月のロンドン。作家のジュリエット・アシュトン(Lily James)は編集者のシドニー・スターク(Matthew Goode)に伴われサイン会会場である書店に向かった。酔っ払いを主人公にした娯楽小説が戦時中にヒットし、その最新作の販売促進のためだ。作家として多額の印税を手にし、半年前に知り合った裕福なアメリカ軍将校マーク・レイノルズ(Glen Powell)からは熱烈なアプローチを受けていたジュリエットだが、両親を空襲で失ったトラウマに苛まれ心から何かを楽しむことができないでいた。ジュリエットの処女作はアン・ブロンテの評伝であったが全く売れず、ヒット作はジュリエットが「イジー・ベッカースタッフ」という男性名義で出版された。シドニーはジュリエットの新居探しを手伝うとともに、『タイムズ』紙の文芸欄に本名でエッセイを書く仕事を手に入れた。マークとのデートから帰宅したある晩、空襲を受けた実家宛てに差し出され転送された手紙を受け取る。見知らぬ差出人ドーシー・アダムス(Michiel Huisman)は、ジュリエットがかつて手放したチャールズ・ラムの『エリア随筆』を手に入れた人物だった。本にはジュリエットが名前と住所とを記していたのだ。ドーシーが住むガーンジー島には書店がなく、ラムの『シェイクスピア物語』を入手するために書店を紹介して欲しいとの依頼だった。ジュリエットは手紙でドーシーが「ガーンジー島の読書とポテトピールパイの会」なる読書会を催していることに関心を持ち、ラムの『シェイクスピア物語』を贈呈するとともに読書会についての質問を送る。そして『タイムズ』紙のエッセイに取り上げるならこの読書会についての他にないと決意したジュリエットは、書店ツアー予定されていることも構わず、ガーンジー島に向かう。
ジュリエットが読書会を取材するためにガーンジー島を訪れるものの、読書会について書くことについては反対されてしまう。その理由をジュリエットが探っていく形で物語が進行する。
自家製のジンを製造しながら「ヒースクリフ」を待っているアイソラ・プリビー(Katherine Parkinson)や、ジュリエットに愛情を抱きながらそれが叶うことがないことを受け容れている編集者のシドニー・スターク(Matthew Goode)は、脇役ではあるが、その孤独感や哀愁が強く印象に残る。
急ごしらえの読書会のレヴェルが高い。
ガンジー島はフランスが近いので、お休みの挨拶などにちらちらフランス語が混じる。