可能性 ある 島 の

芸術鑑賞の備忘録

展覧会『インゲヤード・ローマン展』

展覧会『日本・スウェーデン外交関係樹立150周年
インゲヤード・ローマン展』を鑑賞しての備忘録

東京国立近代美術館工芸館にて、2018年9月14日~12月9日。

 

スウェーデンのデザイナー・陶芸家であるインゲヤード・ローマンを紹介する企画。ガラス器を中心に、陶磁器などをあわせて展示。

個々の作品はいずれもすっきりとした印象を与えるものが多く、それでいてしなやかに訴求する力強さも感じる。シリーズごとに、あるいは複数の同型の器がまとめられると、ぱっと華やかさが生まれる。

磁器のような絵付けしたガラス器「カラカラ」は名前も含めて印象的。香蘭社と共同開発したティー・サービス・セットでは、ティーポットに添えられた小皿が散った花びらのようで美しい。和室に展示された作品は、はじめ凝ったデザインの磁器だと思ったが、実は構造を表情に活かした段ボール製の作品であったのには驚いた。

工芸館で、窓から採光して展示しているのをこれまで見たことがなかった。展示台の中には光沢感のあるものも用いられていて、シンプルな食器を華やかに演出していた。工芸館の新たな魅力を窓を使って引き出すという発想が、インゲヤード・ローマンの作品の魅力をできる限りシンプルに引き出す展示手法と共鳴していた。ただ、そうなると、最後の空間で映像を用いた演出は蛇足で(たしかにチームラボのような安っぽさも世の中では広く受け容れられてはいるようだが)、もっと簡素なしかけを考えて欲しかった。