可能性 ある 島 の

芸術鑑賞の備忘録

展覧会 亀山尚子個展

亀山尚子個展を鑑賞しての備忘録
藍画廊にて、2018年12月17日~22日。

亀山尚子の絵画展。

緑色の茎が1本、長く真っ直ぐに上に伸びて、先には紫色の花弁がが立つように居並ぶ。音をたてずに降る雨が当たりを包んで、その花の他には何もない光景。すうっと、その花の色を帯びた一筋の線が、傍らを降りていく。静寂さの中に微かな動きを感じる。規模も画材も異なれど、等伯の《松林図屏風》に通じるような画面。

彼は誰時の池畔や、冬のガラス窓を通した湖を描いたと思しき作品もあれば、何を描いたのかが判然としない画面の作品も並ぶ。いずれの作品も湿度を感じさせるぼんやりとした空気の中に静けさを湛えている。その中にすうっと垂れていく絵具などによって、微かな動きを感じさせるものが多い。曖昧さや、隙間から顔を出す色、謎めいた形が、その曖昧さに潜む意味を読み取らせようと観る者を誘っている。