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芸術鑑賞の備忘録

展覧会『博物館に初もうで イノシシ 勢いのある年に』

展覧会『博物館に初もうで イノシシ 勢いのある年に』を鑑賞しての備忘録
東京国立博物館(本館特別1室・特別2室)にて、2019年1月2日~27日。

東京国立博物館の新春企画「博物館に初もうで」の一環として行われる干支に因んだ作品の特集陳列。
《玉豚》(漢時代)・《灰陶豚》(前漢時代)・《褐釉豚》(唐時代)のような中国の副葬品から、石川光明によるふさふさの毛が目をひく木彫の《野猪》(1912年)まで30点が並ぶ。

弥生時代のイノシシ狩りを描いた《袈裟襷文銅鐸》表面の図像や、古墳時代のたてがみまでつくりこんだイノシシの埴輪(《埴輪 矢負いのイノシシ》)、岸連山の《猪図》や博物図譜(《博物館獣譜第2帖》)といったリアルなイノシシ、北斎描く摩利支天が騎乗するイノシシ(《北斎漫画》)、十二支と狸との抗争を描いた絵巻のイノシシ侍(《十二類合戦絵巻(模本) 下巻》)などキャラクター化したイノシシ、結城正明(《富士の巻狩》)や葛飾北斎(《見立富士の巻狩》)の『曽我物語』や、歌川豊国(《浮繪忠臣蔵・五段目之圖》)の『忠臣蔵』など物語の中のイノシシなど、様々なタイプのイノシシが並ぶ。とりわけ新春を言祝ぐのは、季節外れではあるものの、望月玉泉描く《萩野猪図屏風》
であろう。金地に萩が咲き乱れ、その蔭に猪が佇む。「臥す猪(ふすい)」は「富寿亥」に通じるのだという。だが、なぜ猪と秋草(萩)が組み合わされるのかは不明であった。