展覧会『GINZA ART EXHIBITION：岩崎貴宏「Layer and Folding」』を鑑賞しての備忘録
銀座 蔦屋書店 GINZA ATRIUMにて、2018年12月27日～2019年1月14日。
美術家岩崎貴宏の個展。《アウト・オブ・ディスオーダー》シリーズと《テクトニック・モデル》シリーズを出陳。
衣類から糸を抜きだして鉄塔を作ることで、衣類が山となった風景を立ち上げるなど、身近なものに手を加えて風景へと転換する作品で知られる岩崎貴宏。
本展に出展されている《アウト・オブ・ディスオーダー》は、黒いフレームの内部に黒い布などを付き重ねていき、一番高い部分に糸で鉄塔などを立ち上げて風景を形作っている。フレームの下部はうねる地層のようにも、濁流がうねるようにも見える、黒の持つ不穏な力強さが印象に残る作品。鉄塔などの構築物は電線などが切られたものもあり、災害によって損壊した景観にも見えるが、タイトルを踏まえて眺めれば、災厄に見舞われても立ち続ける鉄塔などの力への期待を読み取ることもできる。
《テクトニック・モデル》のシリーズは、書籍を縦に置き、栞紐（スピン、ブックマーク）を使って作ったクレーンを置いたもの。岩﨑の作品ではないが、会場の上方には本の形をした白いオブジェが並んでいる。それらと呼応して、本がビルのように建設されていった結果として存在しているかのような景観が生み出された。
