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芸術鑑賞の備忘録

展覧会『青のある暮らし 江戸を染める伊万里焼』

展覧会『青のある暮らし 江戸を染める伊万里焼』を鑑賞しての備忘録
戸栗美術館にて、2019年7月2日~9月22日。

白い素地に青色の文様をあらわした「染付」の伊万里焼の展観。一部色絵の器も含むが、染付を中心に、青磁、瑠璃釉が並ぶ涼やかな空間。浮世絵専門美術館の太田記念美術館と連携し、図版ではあるが染付の描かれた浮世絵などを「コラム」としての紹介も行われている。

 

江戸時代、伸びやかで途切れない唐草文様は吉祥文様として親しまれたとのこと。「生産効率の高さ」も背景にあるという(様々な絵を描く技術を修得しなくとも唐草を描くことだけに習熟すれば足りるからだろうか?)。とりわけ蛸唐草文の入った作品を本展ほど数多く並ぶ。これほどまとめて見る機会はそれほどないのではなかろうか。海を青海波のような波の意匠ではなく蛸唐草文で埋めた《染付 日本地図文 角皿》というのもあった。

《染付 団扇山水文 皿》など同種の作品が複数並べられた器では、「端折り方」と表すべきか、絵付けの差を見比べられて面白い。

《染付 雨文 六角猪口》の藤棚のような雨の表現、《染付 蕎麦文 筒型猪口》の雨のような蕎麦の表現。

「片身替わり」のような意匠は漆芸や着物でも見られるが、《染付 蛸唐草松文 長皿》は、歪とも言える幾何学形の区切り方で3つの文様を組み合わせていた。

色はもとより、均整の取れた器形が凜とした表情をつくる。