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芸術鑑賞の備忘録

映画『ペット2』

映画『ペット2』を鑑賞しての備忘録
2019年のアメリカのアニメーション映画。
監督は、クリス・ルノー(Chris Renaud)。
共同監督は、ジョナサン・デル・バル(Jonathan del Val)。
脚本は、ブライアン・リンチ(Brian Lynch)。
原題は、"The Secret Life of Pets 2"。

ジャック・ラッセル・テリアのマックス(Patton Oswalt)とニューファンドランドの雑種デューク(Eric Stonestreet)が飼い主ケイティ(Ellie Kemper)と散歩していると、自転車で通りがかったチャック(Pete Holmes)が目の前で転倒してしまう。心配するケイティと目を合わせたチャックとは一瞬で恋に落ち、二人は結ばれる。小型犬のマックスは、以前は小さな子供の存在を快く思っていなかったが、ケイティとチャックとの間にリアム(Henry Lynch)が生まれると、その教育係を自認し、溺愛するまでになる。幼いリアムのことを心配するあまり神経症に陥ったマックスは、ケイティに動物病院に連れて行かれ、エリザベスカラーを付けられてしまう。それから間もなく、チャックはケイティ、リアム、そしてマックスとデュークを伴って、おじの牧場へと旅行に出る。その牧場は誇り高き牧羊犬ルースター(Harrison Ford)が取り仕切る世界だった。ところで、マックスは、牧場へ向かう前、同じアパートメントに飼われているポメラニアンギジェット(Jenny Slate)に蜂のおもちゃを託していた。ギジェットはマックスとの間の子供のようにそのおもちゃを大切にしていたが、うっかり階下の猫屋敷に落としてしまう。やはり同じアパートメントに住むウサギのスノーボール(Kevin Hart)は、飼い主のモリー(Kylie Hart)に正義のヒーローのコスチュームを着せられ、すっかりその気になっていた。そんなスノーボールのもとにシーズーのデイジー(Tiffany Haddish)が現れ、セルゲイ(Nick Kroll)のサーカス団に囚われたホワイトタイガーの救出を依頼するのだった。

 

動物の何気ない仕種の可愛らしさの前では、派手な冒険活劇は添え物に過ぎない。飼い主と動物たちとの日常を淡々と描いてもいいのではないかと思ってしまうが、ドタバタのストーリーがこれでもか展開する。しかも、愛玩動物、家畜、野生動物、サーカスに使われる動物のうち、サーカスの動物のみ「虐待=悪」として描かれ、他の動物の福祉についてはほぼ不問に付されている(動物病院のシーンはペットの問題点を若干指摘するものであるのかもしれないが)。ここまで動物と人間との関係を単純化することなく、もっと複雑な関係をコメディとして呈示することはできないだろうか。キャラクターの可愛らしさ、リアムとマックスやデュークの親しさなどに結局は持って行かれてしまうのが怖い。制作者の狙い通り、エンドロールに登場するスノーボールにも簡単にやられてしまうのだ。