可能性 ある 島 の

芸術鑑賞の備忘録

展覧会 川島秀明個展『Youth』

展覧会 川島秀明個展『Youth』を鑑賞しての備忘録

小山登美夫ギャラリーにて2018年11月24日~12月22日。

写楽の大首絵のように顔(頭部)を大きく描いた人物像や、顔が彗星のように飛び出して髪の毛がその尾のように流れている作品を描く川島秀明の新作展。

展覧会のタイトルにもなっている《Youth》では、夜空に打ち上げられた多数の花火のように、夜、花(?)がびっしりついた樹木を背景に、高校生らしき制服姿の男女が横に並び、正面を見据えている。まずは二人の人物のやや愁いがある真摯な眼差しが印象的。開いた花火の火花が下に落ちていくように描かれた花(?)を印象づけるためか、花の明るさに対して闇夜のように背景を暗くしている。マグリットの作品を連想させる露骨な昼夜対比ではないものの、やはり明暗の不自然さは見る者に訴えるものがある。

《Philosophy》と題された作品では、頭をまるめていることでユニセックスの印象が強調された女性が、本棚を背景に缶ビールを口にし、もの思いに耽り、うとうとする場面が描かれている。異時同図法によって、《一遍上人絵伝》のような絵巻物を想起させる。会場内には、涅槃図のイメージを連想させる鉢植えの花に囲まれて横になる女性像や、手の形から弥勒菩薩像仏像を想起させる女性像なども展示されており、作品を読み解く衝動に駆られる。

梅干しをおかずに白いご飯を口にする女性を描いた《Meshi》。ごくわずかな口の動きに強く惹きつけられ、日常の中にあるささやかな喜びが静かに伝わってきた。

会場内に一部旧作も紹介されているが、渋谷ヒカリエの8/ ART GALLERYでは『川島秀明 個展 [2001-2014]』が開催されていて、これまでの作品を展観している。