可能性 ある 島 の

芸術鑑賞の備忘録

展覧会『URUSHI 伝統と革新展』

展覧会『URUSHI 伝統と革新展』を鑑賞しての備忘録
そごう美術館にて、2019年1月1日~27日。

近現代の漆芸を130点以上の作品で紹介する企画。

入口正面では田口善国の《蒔絵棚 煌めく》がお出迎え。薄をモチーフにした波形と直線からなるデザインで、黒漆と白蝶薄貝の螺鈿で表している。「点滅するネオンサインの感覚を貝に入れようとした」といい、薄のハイライトになる白い部分は角度により螺鈿の輝きを見せる。

冒頭では、現存人間国宝11名を紹介する。
増村紀一郎《乾漆水指「君子蘭」》は、「庭に咲く君子蘭を観察し、花の朱色、茎のようす、和服の襟元を想像する葉、これらの要素から導かれるような形」でつくられた作品。朱の表面を持つ器体に「ソ」の字を5つ書くような線だけで君子蘭をイメージさせる。太田儔《籃胎蒟醤文箱「双鳥」》の画面は、縦・横・斜めに布目彫りを重ねてつくられて、浜口陽三のカラーメゾチントのような風合いを見せる。山下義人の《蒟醤箱「山笑う」》は緑の発色が素晴らしく、二面は放射線で、側面は縦の線のみで若々しい樹木の姿を描いている。大西勲の《曲輪造盤「夜空」》や《曲輪造盛器「星」》は天の星の回転を器に落とし込んだ作品、室瀬和美の《瓢果蒔絵合子》は鉛板で表した6つの瓢簞を大胆に器面に配し「六瓢=無病」を表す。

続く「無形文化財制度と日本工芸会》では松田権六の作品を中心に紹介。
高野松山《牡丹木地蒔絵手箱》は、桐の素地を背景に黒漆と蒔絵の輪郭で2輪の牡丹を大胆にあしらった作品。音丸耕堂の《彫漆カトレヤ菓子器》や《彫漆カトレヤ色紙箱》は塗り重ねた色漆を彫り込むことで現われる色彩が強い印象に与える。磯井如真《蒟醤竹林之図飾棚》は、下部に竹を点彫り蒟醤により緑ではなく朱で表し、上部に黒漆の部分を大きくとることで、竹林の奥行きや広がりを表した。

3つ目は「日本伝統漆芸展へ」と題し、1960~90年代の作品を中心に紹介する。
田口善国《流氷蒔絵飾箱》は、複数の矩形を蒔絵で表し、その線のズレを差し挟むことで流氷の動きを表現している。寺井直次《金胎蒔絵水指「春」》は、茶を帯びたクリーム色の地に、ウズラの卵殻とわずかにさした朱漆とで白梅と紅梅とを数多く表し、春の訪れを言祝ぐ。坂下直大《漆皮合子「笠雲」》は、動物の皮を器胎に用いた「漆皮」を身の部分に用い、蓋には網代編みを施している。朱の器面に密やかに表される文様が美しい。

4つ目のセクション「近代の名匠」では、六角紫水、松波保真、山永光甫、玉楮象谷、皮之辺一朝、小川松民、白山松哉、赤塚自得の8名の作家が紹介される。

最後に「現在をつくる作家たち」として、主に2000年以降に制作された作品が展示されている。