可能性 ある 島 の

芸術鑑賞の備忘録

展覧会 南谷理加個展『WONDERLAND』

展覧会『南谷理加「WONDERLAND」』を鑑賞しての備忘録
Bambinart Galleryにて、2020年2月29日~3月22日。

南谷理加の絵画展。20点弱の作品が並ぶ。

世界は容易に現実と地続きにある「超現実」へと入り込む。そのことをモティーフのちょっとした組み合わせ方あるいはずらし方で、ユーモアをもって軽やかに表す作品群。

耳のブロンドの人物の肖像。緑色の茎1本に1つ付いた青い花が左斜め上から顔へ押しあてられ、目や鼻や口は見えない。花の視覚的認識は、網膜に結ばれた像により得られるのかもしれない。だが、花を反射する光、花からやって来る光は、視覚受容器にだけに届くのでは無い。そこから外れる光までも受け取ろうという試み。あるいは、触覚、嗅覚、味覚をも感じ取る試み。いずれによせ、そこには過剰に(sur)現実を受け取ろうという、超現実的表現への意欲が認められる。

袋に頭部を覆われた人物。その手前には枝が色鉛筆の先のようになった木が置かれている。自由な表現を行うための手立てが手許にあるにも拘わらず、それを行使することができいために自ら視界を遮断し、窒息死を選択する。

仮面のような顔を持つ人物が、《オランピア》のように寝そべる。だがこの人物が横たわっているのは、寝台ではなく、《草上の昼食》の舞台のような草の上だ。影の描き込みからは壁の存在もうかがえ、戸外なのか室内なのか判然としない。朱と緑との鮮やかな組み合わせの画面の中で、人物の胸に置かれた白い花のニプレスがキュート。

口を縛ったビニール袋(中にはメロンかパイナップルでも入っているかもしれない)がウサギの後ろ姿に見える作品。あるいは、土手の崩れたところから、中の肉がのぞくような作品。日常の光景の中につい見出してしまう形を表現したような作品。