可能性 ある 島 の

芸術鑑賞の備忘録

映画『シェイクスピアの庭』

映画『シェイクスピアの庭』を鑑賞しての備忘録
2018年のイギリス映画。
監督は、ケネス・ブラナー(Kenneth Branagh)。
脚本は、ベン・エルトン(Ben Elton)。
原題は、"All Is True"。

1613年6月29日、ロンドン。ウィリアム・シェイクスピア(Kenneth Branagh)作の舞台"All is True"(後に『ヘンリー八世』として知られる作品)の公演中、装置として発射した大砲の火が燃え広がり、グローブ座は焼け落ちてしまう。業火を目の当たりにしたウィリアムは断筆して、故郷ストラットフォード・アポン・エイボンへと馬を駆った。敷地に降り立ったウィリアムは、17年前に疫病で早世したはずの息子ハムネット(Sam Ellis)の姿を目にする。ウィリアムは、かつてハムネットから送られた詩に優れた才能を見出しており、大切にとってあった。ウィリアムが所望した飲み物を持ってくると、ハムネットは自分についての物語を知ることになるだろうとウィリアムに告げて姿を消す。長年創作に明け暮れたウィリアムは、虚構と現実との区別が曖昧になったのだろうと自嘲する。屋敷に向かうと、20年余りの間ほとんど寄りつくことがなかったウィリアムに、年上の妻アン(Judi Dench)はつれない。家族ではなく客も同然だと、客間の一番良いベッドで寝るように告げ、ウィリアムが寝室に入るのを拒む。次女ジュディス(Kathryn Wilder)は未だ独り身で、鏡に自分の姿を見るのも厭わしいなどと自虐的な言葉ばかりを発し、かつての快活な少女の面影は失われていた。長女スザンナ(Lydia Wilson)は医師ジョン・ホール(Hadley Fraser)と結婚して娘エリザベス(Clara Duczmal)を儲けていたが、夫婦関係はすっかり冷え切っていた。ジョンは、ウィリアムの隠栖を知ると、妻に頻りに遺産の話題を持ち出す。ウィリアムはハムネットの慰霊のために庭を造ると宣言するが、アンやジュディスはハムネットの喪失に対し時の経過がもたらした平穏を乱されることに心穏やかではない。それでもウィリアムは作庭は劇作と通じるものがあると、メイドのマリア(Sabi Perez)を助手に縄張りを始めるのだった。

 

ウィリアム・シェイクスピアの晩年にこんなにも劇的なエピソードがあったとはと驚かされる。シェイクスピアについての知識がなくとも、こじれてしまった家族の関係をめぐる物語として存分に楽しむことが出来る作品。