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芸術鑑賞の備忘録

映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』

映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』を鑑賞しての備忘録
2020年のアメリカ映画。
監督は、キャシー・ヤン(Cathy Yan)。
脚本は、クリスティーナ・ホドソン(Christina Hodson)。
原題は、"Birds of Prey: And the Fantabulous Emancipation of One Harley Quinn"。

ハーリーン・クインゼル(Margot Robbie)は、幼い頃に父に捨てられ、修道院で孤児として育った。長じて精神科医となるが、ゴッサム・シティの隠然たる実力者ジョーカーの担当医になったことが人生の転機となる。ジョーカーに心を奪われその恋人となったハーリーンは、ジョーカーから「ハーレイ・クイン」と名付けられ、ともに悪事を重ねていく。ジョーカーの威勢を笠に着て気儘に振る舞ってきたハーレイだったが、ある日、ジョーカーに捨てられてしまう。ハーレイは、ドク(Dana Lee)の店に匿まってもらうと、髪を切り、ハイエナを飼い、ローラーゲームに興じるなどして、立ち直るために足搔いていた。ギャングのローマン・シオニス(Ewan McGregor)のナイトクラブで一人憂さ晴らしをしていたハーレイは、そこで出逢った、シオニスお気に入りの歌姫ダイナ・ランス(Jurnee Smollett-Bell)にだけジョーカーとの関係が終わったことを告白する。酔っ払ったハーレイは、侮辱してきた男(Daniel Bernhardt)の脚を折ってしまう。その男はシオニスお抱えの運転手だった。泥酔したハーレイが店を出たところ、ジョーカーとの縁が切れたことを知ったシオニスが差し向けた部下たちによって拉致されそうになる。居合わせたダイナがハーレイの窮地を救う。ダイナの優れた格闘能力を建物から覗いていたシオニスは、彼女を新しい運転手として採用することに決める。その晩、ジョーカーとの思い出の場所である化学工場に通りかかったハーレイは、運転席に誰もいないタンクローリーが停まっているのを見つける。ハーレイは、タンクローリーを工場に衝突させ爆破することで、ジョーカーとの関係を吹っ切る。4人の男が殺害された店で捜査に当たっていたゴッサム・シティ警察の刑事レニー・モントーヤ(Rosie Perez)が、爆発音を聞きつけ、現場に急行する。捜索に当たっていた警察官から「J」の文字が入ったネックレスの遺留品を受け取ったモントーヤは、ハーレイの仕業だと知る。

 

映画「スーサイド・スクワッド」(2016年)のハーレイ・クインが印象に強く残っており、彼女の姿を拝むために鑑賞。
恋人であり後ろ盾でもあるジョーカーを失ったハーレイ・クインが陥った苦境とそこからの脱出を中心に、男性中心の社会で虐げられている女性たちが自立を目指す物語。敵役・悪役は徹底して男のキャラクターが充てられている。なお、本作品までのハーレイ・クインの過去を描くアニメーションを除き、ジョーカーは登場しない。
前半では時系列を前後させて話が展開するが、ハーレイ・クインについての知識がない者にとっては、かなりスピーディーに感じる。
格闘シーンよりも、ベーコンチーズサンドやスーパーマーケットのカートを押して走るシーンなどに魅力を感じる。セクシーさは「スーサイド・スクワッド」に比べかなり控えめだが、男性目線を避ける狙いがあるのだろう。
ハーレイ・クインが目当てなので、クールだがどこか抜けているハントレス(Mary Elizabeth Winstead)を除いて、「スーサイド・スクワッド」の怪物たち同様、他のキャラクターが描かれるシーンを冗長に感じてしまう。とりわけ盗癖のある少女カサンドラ・ケイン(Ella Jay Basco)が特段の窮状にあるとも思えず、共感できなかった。だがその見方にこそ偏見が介在しているのかもしれない。ハーレイ・クインのピンチこそ自業自得なのだろうから。
Ewan McGregorはヴィランには不向きなのかもしれない。