可能性 ある 島 の

芸術鑑賞の備忘録

展覧会『東京インディペンデント2019』

展覧会『東京インディペンデント2019』を鑑賞しての備忘録
東京藝術大学陳列館にて、2019年4月18日~5月5日。

芸術家としての意志があるすべての人に開かれた美術展。企画は、保科豊巳、曽根裕、Tommy Simoens、西原珉。趣旨に賛同した​633組の作家の1000点以上の作品(絵画、彫刻、写真、映像、エッセイ、QRコードなどなど)が、東京芸術大学の陳列館の1階・2階に所狭しと並ぶ。

会場を埋め尽くす作品群に、どこから見ていいのか分からない。目に入ったものを見ようとすると他の作品も目に入ってしまい、なかなか集中できない。タイトルや作家名の表記はなく、作品搬入時にくじで決めた番号のみが作品の傍に貼られている。インターネット上に並列される情報のように、あらゆる作品が等価になっている。ヌード(身体)の作品、大きい作品や見たことのある(作風の)作品、動く作品は目に入ってきやすい(我ながら、ありふれた感覚だと思う)。2階は天井が高く、上方には窓がある。かなり高い位置まで作品が並べられている。ミュージアムの祖先であるクンストカンマ―であるとか、17世紀あたりの美術品陳列室の絵においては、壁面の下から上までにびっしりコレクションが並べられているが、鑑賞するのも楽ではなかったのだ(だから現在そういう展示は行わないのだ)。天井が高いことを活かして櫓(?)が立ち、そこにも作品が設置されている。

ごく普通の単語カード(英単語などを書いて意味を覚えるときに使う紙片)に、黒いペンで一言コメントと円形のキャラクターが描き込まれたものが壁に無数にピンで留められた作品(81番:ソウダケイキ)。1つ1つのコメントが非常に面白かった。

女性の身体をとらえたモノクロームの写真の連作(154番:king_lzy)。白磁のような器と見紛うような作品が魅力的だった。

ウォーホルのマオを本歌にしたと思しき作品(10番:オヤマアツキ)。エルビスを下敷きに、膝をついて話す場面か、あるいは「ペア」で描いた方が特色が出そうだが、敢えてマオにしているのは、より政治寄りなメッセージがあるためだろうか。