可能性 ある 島 の

芸術鑑賞の備忘録

展覧会『Para-monument』

展覧会『Para-monument』を鑑賞しての備忘録
アキバタマビ21にて、2019年4月7日~5月18日。

新井夏菜、一井すみれ、望月美葵、大和春子、渡壁遥によるグループ展。

 

渡壁遥の《The aesthetics inside things ii》について。

《The aesthetics inside things》と題された作品では、中央の奥に描かれる礼拝堂か聖堂のような空間へと向かって、左手に連なる壁といくつかのアーチとが手前に描かれている。他の部分には構造物は描かれず、奥へと向かう集中線のような線と、横縞とが画面を埋めている。秘匿された何かの存在か、あるいは何らかの得難い経験を期待して、奥へ奥へと歩んでいく好奇心そのものを表現したともとれる。
《The aesthetics inside things ii》においても画面中央奥へ向かう集中線やアーチ状の構造が描かれるが、同時に、中央のやや上部には人物像らしきものが存在する。画面に近づくと、絵肌には建材を想起させるような物質感が表され、絵画自体が建造物のように立ち現れる。アーチと思っていた形は、脚であった。脚の間を通り抜け、その付け根に空いた穴から、堂(胴)内=体内へと入っていく。先に見た人物像は、この伽藍の頂上(最終目的地)に位置するものであろう。この作品の近くに置かれた、新井夏菜の《死を抱いて眠る》と題された横たわる人体を模した石膏像が、絵画による胎内巡りへと誘う効果を増している。