可能性 ある 島 の

芸術鑑賞の備忘録

展覧会 井上嗣也個展『Beginnings』

展覧会『井上嗣也展「Beginnings」』を鑑賞しての備忘録
ギンザ・グラフィック・ギャラリーにて、2019年5月14日~6月26日。

グラフィックデザイナー・井上嗣也の作品を紹介する企画展。新作のポスター「The Burning Heaven」シリーズなど近作を中心に紹介する1階と、過去の代表作も織り交ぜた地下の展示から構成。

 

1階では、叫ぶようなカラス(?)の顔を大写しにしたポスター《COMME des GARÇONS SEIGEN ONO》(2019年)が目をひいた。文字の情報を最低限度に抑えた白い背景に、カラス(?)の頭部が3分の2くらいを占める。そのモノクロームの世界で、雄叫びを上げるカラス(?)の口内の赤が生々しい。叫ぶこととは裂けることに通じるか、という印象で、その深淵をのぞき込もうという欲求に駆られる。

地下では、サントリーのウィスキーのポスター(1987年)が素晴らしかった。サントリー・オールドの瓶のイメージを、ポスターに転生させることに成功したかのような印象の、ロゴ・デザインと顔写真で構成されている。また、「野生展 “LANDSCAPE_”」のポスター(1987年)の、島(凸)とクレーター(凹)とを違和感なく接合させた写真も見事。