展覧会『水島真奈展』を鑑賞しての備忘録
GALLERY b.TOKYOにて、2020年3月30日~4月4日。
水島真奈による肖像画10点を展示。
鼻、唇、眉、耳などは類型化され、一瞥した印象では、漫画に寄った肖像画群に見える。だが、塗り籠められている多様な色、絵具の滴るような部分、とりわけ筆(刷毛?)で掃いた跡などに気が付くうち、次第に画面に展開される茫漠とした世界の奥行きにとらわれる。そして、画風を象徴するのが目だ。眼窩に水が湛えられているような描き方で、瞳が沈んでいるのが見える。典型的な作品は、黒いフードのパーカーをまとった少女を描いた《pink eyes》だろう。黒い背景の下部から白いもやもやとした空間が沸き上がっていく。この曖昧模糊とした空間に佇む少女の目はアシンメトリーに表されている。その目が、右へ、左へと振れるような動きを生み、鑑賞者は、たゆたうように、瞳の方へと、水底へと少しずつ引き寄せられていくことになる。