可能性 ある 島 の

芸術鑑賞の備忘録

展覧会 大野智史個展『Sleep in Jungle.』

展覧会『大野智史「Sleep in Jungle.」』を鑑賞しての備忘録
小山登美夫ギャラリーにて、2020年3月7日~4月4日。※3月31日までに会期短縮。

大野智史の絵画展。

展覧会タイトルと同じ《Sleep in Jungle.》と題された作品は複数ある。グラスのステムとフット・プレートのようなものが支える緑色のベッドに、豊かな乳房をもつ裸婦がエドゥアール・マネの《オランピア》のように横たわる。バナナのような熱帯植物の大きな葉が天蓋のように彼女を覆う。月を表した夜が舞台の作品が並ぶ中、1点だけ太陽を描いたと思しき作品がある。太陽はオレンジ色で、赤い暈ができている。これは未来の、膨張した太陽ではないか。寝台脇に描かれたパッションフルーツの存在は、温暖化によって熱帯と化した地球を示唆するようだ。背後に広がるのは、酸性雨によって冒された世界。女性は、大きな葉陰で酸をやり過ごしているのだ。男性の存在は、ベッドの形にその痕跡のみが見える。精子の減少の行き着く先に、大丈夫=男性(雄)は消滅したのだろう。女性のピンクに染まる身体は、単為生殖の始まりを告げているのかもしれない。未来の聖母=処女懐胎。植物の葉がヴェールの代わりに、その顔を覆う。これはポスト・ヒューマンの表象か。ならば、《Forever Love》に描かれた緑の寝台の上の2つの頭蓋骨は、単為生殖のポスト・ヒューマンさえ消滅した先の世界、「ポスト人新世」を描くのかもしれない。