可能性 ある 島 の

芸術鑑賞の備忘録

展覧会『日々 HIBI』

展覧会『日々 HIBI』を鑑賞しての備忘録
gallery TOWEDにて、2020年3月13日~29日。

綱田康平(絵画)、小渕祥子(焼き物)、佐貫絢郁(絵画)のグループ展。

 

綱田康平の作品について
壁面に3段6列で展示されていた綱田康平のドローイング作品が印象に残った。釣りや彫刻、入浴といった単身の作品から、祈りに立ち飲みに買い物疲れに登山まで集団を描いた作品まで、多岐にわたる卑近な画題の作品群。線の数を可能な限り絞り込み極限まで単純化しつつ画面におけるバランスの絶妙さが際立つ作品と、線を次々と繰り出し人物と周囲の事物とが渾然と一体化した世界を生み出す作品が共存している。
2階で展示されているやはり綱田康平のクレヨンを用いた《牛》と《森》は、既に熊谷守一の域に達したかのような秀逸な作品。《牛》はいびつに伸びた頭部と脚とで身体を人物が寄り添うように支え、なおかつ牛の斑点と周囲に描かれた石や水(?)らしき円とが共鳴し、画面の中に調和を生んでいる。《森》は、長崎くんちの龍踊のように、連なる緑に脚のような幹が伸びている。《牛》と同様、丸い形が緑の中と周囲とに等しく点在し、一体的な世界を起ち上げている。