展覧会『第22回グラフィック「1_WALL」展』を鑑賞しての備忘録
2020年3月17日~4月18日。※4月3日までに会期短縮。
個展開催の権利をかけた公募展。二次審査通過のファイナリスト6名によるグループ展。
グランプリを獲得したちぇんしげの《「五円」なき衆生は度し難し》は、台座に載った置物、流星などの光、手などを描いた複数の紙が壁面に並べられたもの。伏羲・女媧やダイダラボッチを思わせるキャラクターが織り込まれることで、神話のような世界を生み出している。流星などの光に向けられた視線の表現(光線?)が、見ることの力を表現するもので印象的であった。よく分からないゆえに見てしまい、見ていてもやっぱり分からない。鑑賞者は、メデューサに見つめられたように、ただ立ち尽くすしかない。
森ひなた《あつめる》は地母神のような異形の存在を鉛筆の線を重ねることで描き出す。黒光りする画面は、地中の闇の力を光に反転させる力を持つ。
水上雄太《PLANTS》は、アンチエイリアスに対する疑念から、あえてノイズを活かそうとコンピューターで描画した植物。ノイズのギザギザは、植物の力を織り込んだ伝統的なテキスタイルに通じるようだ。