可能性 ある 島 の

芸術鑑賞の備忘録

展覧会 東恩納裕⼀個展

展覧会「Ota Art Archives(OAA) #2 東恩納裕⼀』を鑑賞しての備忘録
KOCAにて、2020年3月7日~28日。※4月12日まで延長→4月8日終了。

京浜急行の高架下にあるシェアオフィスを舞台に、蛍光灯などの照明器具を用いた作品を中心とした東恩納裕⼀の個展。

1階のミーティング・スペースに設置された、多数の丸形蛍光灯を組み合わせたシャンデリア。外光や他の照明装置の影響もあるのだろうが、蛍光灯の数(数十個?)の割には明るさを感じない。天井から多数の配線とともにテーブルに近い低い位置にまで、まるで自重に耐えかねるように垂れ下がっている。昨今の情勢の下で目にすると、国際的なスポーツ大会を象徴する5つの輪が、増殖する輪=球=コロナウィルスの付着によって、引きずり下ろされているように錯覚してしまう。近くには、グレーの壁に、ところどころ切り込みが入ってたわんだ、壁と同色の壁紙が貼り付けられている。床に設置された照明が下から当てられたこの作品には、社会制度の劣化あるいは虚飾と、それに向けられた批判的な眼差しあるいは疑念を受け取ることもできそうだ。
2階へ向かう階段の壁面には、これまでの作品や展示風景などが映像で紹介されている。その映像にも登場するのが、銀色の包み紙に入った飴玉のバルーン。2階には、未来都市の空間に浮かぶ飴玉を描いた小品も展示されている。光を反射してきらきらとまばゆい飴玉に人々は魅了されるだろう。だが、周囲の光景に擬態する飴玉は常に手の届かない場所に浮遊する。ぶら下げられたニンジンを手に入れることは永遠にかなわないのだ。