映画『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』を鑑賞しての備忘録
2019年製作のアメリカ映画。92分。
監督・脚本は、ウッディ・アレン(Woody Allen)。
撮影は、ビットリオ・ストラーロ(Vittorio Storaro)。
編集は、アリサ・レプセルター(Alisa Lepselter)。
原題は、"A Rainy Day in New York"。
ギャツビー・ウェルズ(Timothée Chalamet)は、ペンシルベニア州ヤードリーの大学に籍を置く学生。ニューヨークの裕福な家庭で育った彼は、文学に傾倒する母親(Cherry Jones)から、読書や観劇、美術鑑賞を通じて教養を身につけることの重要性を叩き込まれてきた。母の希望でいったんはアイビーリーグの大学に入学したが、水が合わず、「森林」の大学に移ったのだった。もっとも、学業に打ち込むこともなく、将来の展望もない。ギャンブルに刺激を求める日々を送っていた。唯一の慰めは、恋人のアシュリー・エンライト(Elle Fanning)の存在。アリゾナ州ツーソンの銀行家を家庭に育った彼女は、大学新聞の記者をしている。ある日ギャッツビーは、興奮するアシュリーから、風邪を引いた担当者の代わりに『冬の記憶』などで知られる映画監督ローランド・ポラード(Liev Schreiber)のインタヴューを担当することになったと聞かされる。ギャツビーは、週末のニューヨークの取材旅行に同行し、ポーカーで稼いだ金で彼女にニューヨークを堪能させようと知恵を絞るのだった。バスでニューヨークへ向かった二人は、まずはザ・ピエールにチェックイン。ギャツビーは、セントラル・パークを見晴らせるスイートルームをおさえていた。落ち着く暇も無く、二人はポラード監督の滞在するホテルへ向かい、アシュリーは監督に対してインタヴューを開始する。監督は最初の妻の名もアシュリーで、ヤードリーの大学で哲学を専攻していたと語り、脚本家のテッド・ダヴィドフ(Jude Law)との試写にアシュリーを誘う。一方、ギャツビーは時間をつぶすため兄ハンター(Will Rogers)の家に向かう途中、地元のクラスメイトで一番会いたくないアルヴィン・トロラー(Ben Warheit)に出くわす。アルヴィンが旧友たちの近況についてあれこれ語るのを聞かされるうち、親しかったジョシュ・ルーミス(Griffin Newman)が課題で映画を撮影をしていることを知った。ジョシュの撮影現場を訪れたギャツビーは、女性が恋人の車を降りるシーンの運転手役を急遽頼まれる。女性を演じるのは、かつて付き合っていた女性の妹チャン・タイレル(Selena Gomez)だった。リンカーンが暗殺されたことも知らなかった姉が今じゃ政治学を専攻しているなどとずけずけとした物言いのチャン。恋人とのキスなのに口が閉じたままだとギャツビーを詰る。挑発に本気になったギャツビーとの3テイク目のキス・シーンに合わせるように雨が降り始める。このテイクを使うとジョシュに言われ、ギャツビーは兄の元へ。兄とその婚約者のリリー(Annaleigh Ashford)に暖かく迎えられるが、リリーがシャワーを浴びている間に、兄からは近く予定されている彼女との結婚を取りやめたいと打ち明けられる。理由を問うと、どうしても彼女の笑い声に耐えられないのだという。兄の家を出たギャツビーは、リリーが試写を見るために、ランチを断られてしまう。雨に降られ、タクシーに飛び乗ると、ちょうどチャンも同じタクシーに乗り込むところだった。チャンに譲るギャツビーだったが、チャンは二人で乗ることを提案する。試写でアシュリーは新作を評価するが、ポラードは見るに堪えないと途中で退席して行方をくらませてしまう。ダヴィドフとアシュリーは試写後にポラードの後を追うが、途中でダヴィドフは妻コニー(Rebecca Hall)が不倫相手と睨んでいた親友の住まいへ向かうのを偶然見かけてしまう。アシュリーはダヴィドフのコニーの待ち伏せに付き合うことにする。
チャン・タイレル(Selena Gomez)が、ギャツビー・ウェルズ(Timothée Chalamet)に対して毒舌を振るうのだけれど、そこには彼に対する愛情を隠しきれていない様にぐっとくる。
アシュリー・エンライト(Elle Fanning)がニューヨークで徐々に姿を変じていくのも面白い。
ギャツビーと母との関係も見物。
テッド・ダヴィドフ(Jude Law)のウッディ・アレン感。
ウディ・アレン流の格差社会の描き方なのだろうか。
時間は飛ぶように去って行く。しかも、残念なことにはエコノミー・クラスで。
科白の引用の部分が分かれば、もっと楽しめるのにと、教養のなさが悔やまれる。