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芸術鑑賞の備忘録

映画『スケアリーストーリーズ 怖い本』

映画『スケアリーストーリーズ 怖い本』を鑑賞しての備忘録
2019年のアメリカ映画。
監督は、アンドレ・ウーブレダル(André Øvredal)。
原作は、アルビン・シュワルツ(Alvin Schwartz)の小説『スケアリーストーリーズ 怖い本(Scary Stories to Tell in the Dark)』。
原案は、ギレルモ・デル・トロ(Guillermo del Toro)、パトリック・メルトン(Patrick Melton)、マーカス・ダンスタン(Marcus Dunstan)。
脚本は、ダン・ハーゲマン(Dan Hageman)とケビン・ハーゲマン(Kevin Hageman)。

1968年。ペンシルベニア州ミルバレー。ハロウィンの飾り付けで町は賑やかな雰囲気。ヒスパニックのラモン・モラレス(Michael Garza)は、初めて訪れたこの町を車で流している。ガソリンスタンドでラモンは、地元警察の署長ターナー(Gil Bellows)からよそ者として怪しまれ職務質問を受ける。ロイ・ニコラス(Dean Norris)は家でテレビを見ている。ニクソンとハンフリーとが拮抗する大統領選挙は大詰めを迎えていた。娘のステラ(Zoe Margaret Colletti)にハロウィンで家を空けるか尋ねると、今晩は出かけないと返される。ステラはそのつもりだったが、チャック・スタインバーグ(Austin Zajur)とオギー・ヒルダーブラント(Gabriel Rush)からトランシーバー越しに熱心に誘い出される。ステラは魔女の扮装をして家を出る。チャックはトミー・ミルナー(Austin Abrams)に受けた嫌がらせの復讐の機会をハロウィンに定めていた。母親(Deborah Pollitt)に頼んだ「スパイダーマン」の衣装はどちらかと言えば蜘蛛そのものだったが、それに意気がそがれることもなく、自らの排泄物を利用した「兵器」を拵える。オギーはピエロの扮装をギリギリまで母親(Marie Ward)に調整されてやっと家を出てきた。チャックを家まで迎えに行ったオギーは、チャックの姉のルース(Natalie Ganzhorn)のことが気になって仕方がない。ステラに落ち合ったオギーは、ステラに小説を学校新聞に投稿しないか尋ねるが、彼女は掲載は難しいだろうからそのつもりはないと応える。ステラは"The Whistling Room"という小説を書いていた。友人とルースを乗せたトミーの運転する車がステラたちのそばを通り過ぎ、その際チャックのバッグが奪われる。だがこれはチャックの狙い通りで、トミーは「兵器」の被害を被ることになる。怒りに燃えるトミーは仲間とともにチャックたちを追いかける。ドライブインシアターに逃げ込んだ3
人は、一人映画を見ていたラモンの車に身を潜めることにする。トミーはラモンの車に3人がいることに気が付きラモンを脅すが、動じない。トミーたちは他の客の映画鑑賞の妨げとなっていたために退散する。上映されていたゾンビ映画は今年一番の作品だと言い放つステラとラモンは意気投合。ステラは皆を誘ってハロウィンを「幽霊屋敷」で過ごすことを提案する。そこはかつて製紙工場を経営していたベローズ家の豪邸で、一族の娘であるサラが監禁されて死んだという曰く付きの建物だった。鍵をこじ開けて中に入ると、チャックがオギーをからかって怖がらせようとしている間に、ラモンとステラは隠し扉を発見してサラの監禁されていたらしき部屋に入り込む。そこでステラは、サラ・ベローズの書いた本を発見するのだった。

 

ステラはホラーや創作(小説の執筆)に興味があるが、その背景に、母親が父娘を置いていなくなったことがある。
トミーは案山子に対して執拗に暴力を振るう。不在の父親が案山子に重ね合わされている。
登場する怪物(?)自体は、フィクションとしての性格が強く表されているために、あまり恐ろしくない。児童文学が原作なので当然なのだろうが。陳腐な言い回しだが、人間の方が遙かに恐ろしいのである。